■来年前半まで利上げ継続も、金利による経済対策は限界か

――この先の利上げの行方はどうなるのか。

東短リサーチ 加藤出氏:
基本はあと0.25を3回なのだと思います。2月に関しては年明け以降出てくる労働市場のデータ次第でしょうから、まだ0.25確定的というわけでもなく、場合によっては0.5%になる可能性もあると。年明けの賃金の状況などを見て決めるということだと思います。2月、3月と労働市場の減速がゆっくりで、株の方は先行して上がるということになると、パウエル議長としてはもうちょっと警戒心を与えておく方がいいかということで、3月のドットチャートの見通しをまた上げることもあり得ます。

――さらに上がっていく可能性もまだあるとなると大変だ。

ホリコ・キャピタル・マネジメント 堀古英司氏:
今なぜこれだけ賃金が上がっているかというと、コロナの時に支給金をもらって働かなくていいという状況ができて、そういう人たちは株が上がると戻ってきません。金利だけで今の問題を解決しようとすることにそもそもの問題があって、例えば一般の人がレストランに行く時に金利が上がったから行くのをやめようと思わないわけです。金利だけでやろうとするから市場との乖離が大きくなって今非常に難しくなっていると思います。

――根本的には今のインフレがどういう性質のもので、本当に収まるのかどうかということだ。構造が変わっているということではないか。

東短リサーチ 加藤出氏:
人手不足がまさに労働市場の構造が変わってきているということだとすると、これを金利で解決しようとすると相当景気を減速させないとインフレは下がらないということになります。FRBとしてはオーバーキルするリスクと、早めに利下げして金融を緩和方向に持っていくことでインフレがまた上がってくるというリスクを比べると、オーバーキルの方がいいだろうというふうに傾いているわけです。

――来年何月ぐらいに今の議論の結論が見えてくるのか。

ホリコ・キャピタル・マネジメント 堀古英司氏:
今幸いFRBはこれだけ積極的ですし、インフレは本当に久しぶり、40年ぶりなので人々のマインドはまだ変わっていません。これは一時的だとみんな思っているわけです。メインシナリオは、(インフレが)かなり早期のうちに人々の期待につながらない限り、これは結構早いうちに終わると期待しております。

(BS-TBS『Bizスクエア』 12月17日放送より)