食料品ゼロなら年5兆円
食料品に対する消費税の軽減税率を今の8%からゼロにするには、年間5兆円の財源が必要です。恒久措置であれば、恒久的に5兆円を集めなければなりません。
「中道」は政府系のファンドを作り、その運用益などで対処するとしていますが、ファンドの運用は、利益が出る年もあれば、損失が出る年もあるものです。損が出る可能性が高いものを恒久財源の当てにするなど、およそ現実的とは言えません。数百億円の規模ならまだしも、なにせ5兆円なのです。
日本の基幹税は、消費税、所得税、法人税の3つです。普通に考えれば、恒久的な5兆円減税を続けるには、基幹税を兆円単位で増税しないと不可能でしょう。法人税だけに5兆円増税を課すのも難しいでしょう。
だとすると、食料品の税率をゼロにするということは、そのために所得税の増税や、食料品以外の消費税の増税を求めることになりかねません。本当にそんな覚悟まであって、恒久的な食料品ゼロを掲げているのでしょうか。
高市総理も食料品ゼロは「悲願」
こうした野党側の攻勢に引きずられたのでしょうか。これまで消費税減税を封印してきた高市総理が前のめりに変わりました。
もともと「食料品の消費税2年間ゼロ」は連立相手の日本維新の会の公約でした。自民党は、その実現に向け「検討を進める」ことが合意されていたのですが、高市総理は「実現に向けた動きを加速させる」と表明し、同時に、自分の「悲願」とまで踏み込みました。選挙戦では、消費税減税に慎重だった、これまでの自民党の主張との整合性が問われると共に、党内の不協和音が表面化するリスクもありそうです。
2年間の時限措置であれば、年5兆の倍の10兆円を用意すれば良いということになります。もちろん10兆円は巨額ですが、恒久減税と比べれば財源の議論は可能かもしれません。ただ、2年後に本当にゼロから再び8%に戻せるのか、という点が最大の課題です。
いったんゼロになった食料品への消費税を再び8%に戻すなんて、私には、政治の現実論としては限りなく不可能なように思えます。














