■ウクライナ バレエ団来日公演「くるみ割り人形」や「白鳥の湖」は封印

こうした中、ウクライナ国立歌劇場のバレエ団やオーケストラなど181人が、日本公演のため来日しました。

ウクライナ国立バレエ ヤン・ヴァーニャさん
「私は日本に3週間います。その間、戦争ことを少しでも忘れらることができたらいいです」

キーウの劇場では、1か月前から日本公演に向けた練習をしてきました。

しかし…。

避難を促すアナウンス
「緊急警報がキーウに発令されました。地下の廊下へ避難してください」

こうした警報が鳴れば、地下シェルターに避難するため練習を中断します。

ウクライナ国立バレエ オリガ・ゴリッツァさん
「空襲警報に慣れることはありません。警報が鳴って、ミサイル攻撃がくると思うと怖いです」

ようやく迎える日本公演も、“これまで通り”とはいきません。ウクライナ政府からの要請で、ロシア人が作曲した作品の上映が見送られることに。

それは、クリスマスの定番「くるみ割り人形」や「白鳥の湖」など、世界中で愛される
バレエ音楽を生み出した、ロシア人作曲家チャイコフスキーの作品も例外ではありません。

来日したバレエ団の芸術監督を今、日本人が務めています。

ウクライナ国立バレエ 寺田宜弘芸術監督
「芸術と政治は全く別だと思っています。心の中では。でも今はウクライナでは、ロシアの文化は使わない方がいいと思います。マリウポリがロシアに支配されたとき、ロシアから援助された水、食料を誰一人受け取らなかった。その時私の心の中で感じたのは、チャイコフスキーは我慢すべきと」

今回の日本公演で披露されるのは、華やかな音楽で奏でる恋の物語「ドン・キホーテ」。

12月19日、その幕が上がりました。

観劇した客
「最後の方は感動というか、私も初めてバレエ見て泣いてしまって」
「夢を持ってる人が夢に向かって頑張れる日常が戻ってくることを望む気持ちになった舞台でした」

寺田芸術監督
「私は、いつも苦しい時代だからこそ、素晴らしいものが生まれると思う。本当の芸術、素晴らしい時代をこれから私たちは必ずつくっていきます」