年間300人が死亡か行方不明 小屋番たちの苦悩
警察庁によると2024年に山で遭難した人は3,357人、その約1割にあたる300人が命を落としたり行方不明になっている。山での行動を一歩間違えると遭難し、命に関わる事態に直結しかねない。
遭難が起きたとき、小屋番たちは救助要請を待ち、地元の警察からの指示を受けて対応するのが基本的な流れだ。ただ自分の小屋の近くで遭難が起きた場合は、小屋番たちが助けに向かうことも少なくない。険しい山道での救助には危険が伴う。遭難救助に出た小屋番たちが、自らも怪我をすることも多いのが現実だ。
「スマホより山を見てほしい」救助隊長を務める小屋番からの警鐘

「遠い飲み屋」の赤ちょうちんが登山客を待つ青年小屋のオーナー竹内敬一さん(71)は地元の警察署の山岳救助隊の隊長を1990年から70歳を超える現在まで勤めている。
「今の人たちはスマホばかりで地図を見て、山を見てない。自分の実力を知らない」
登山者の遭難事故防止に長年、尽力してきた竹内さんは警鐘を鳴らす。
登山アプリなど便利なものも確かにあるが、自分の足で険しい道を通り、実際に目的地に辿り着けるかどうかは本人でしか分からない。「自然を見て自然を知ってほしい。自然はいつも優しく迎え入れてくれるわけじゃない」竹内さんは山を見つめながら優しく語った。
竹内さんの山小屋では、登山客はお酒を飲み交わしながら、ベテラン小屋番だからこそ知る、山の話に花を咲かせる。登山客にとっては山小屋で聞く話もまた、自分の登山の知見となるのだ。

シリーズ「小屋番 八ヶ岳に生きる」
【第1話】「このままでは自分が壊れる」23歳で都会を逃れた青年は、なぜ氷点下20度の八ヶ岳に向かったのか…『自分をリセット』八ヶ岳の山小屋に生きる小屋番たちの思い
【第2話】「飢えた鹿はトリカブトも食べる」”鹿に食いつくされる八ヶ岳の森” 山小屋で働く小屋番が抱く危機感「このままでは八ヶ岳の森が消えてしまう」
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<プロフィール>
執筆者:永山由紀子
1989年東京放送(現TBSテレビ)入社。情報番組やドラマのディレクター・プロデューサーに従事。
企画・プロデュースしたドキュメンタリー映画
『小屋番 ~八ヶ岳に生きる ~劇場版』は1月9日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町ほか~全国で順次公開、上映中














