2020年の豪雨で被災し、5年半を経て復活した老舗旅館。営業再開して1組目の宿泊客には、『特別な思い』がありました。
被災した旅館とその復活を待ち続けた夫婦、それぞれの門出の日です。

あの日から5年半
鶴之湯旅館 土山大典さん「初めて見る水位でした。逃げるのに必死だったというかとても恐ろしかったのを覚えています」
2020年の豪雨で被災した、熊本県八代市坂本町の鶴之湯旅館。

嵩上げを伴う復旧工事が長引き、被災から5年半を経て、ようやく復活しました。
創業当時の雰囲気はそのままに、被災し解体を余儀なくされた町内の住宅から譲り受けた不揃いの障子を並べるなど、『被災の記憶』もとどめます。
土山さん「『何々地区の何々さんのお宅から』と一軒一軒思い入れのある障子です。皆さんの思いと共に旅館づくりをしたいという思いで譲り受けたものを再利用しています」

地域とともに営業再開へ
営業再開の前日、4代目の土山さんは、地区の畑を訪ねていました。
長ネギ、ダイコン、カブにハクサイ。
「坂本町の食材や球磨川の恵みで宿泊客をもてなしたい」という土山さんに共感する住民たちが作物を提供してくれます。

土山さん「きのうで全部工事が終わりました」
坂本町の住民「おぉ、終わった?」
坂本町の住民「うれしいですね。工事ばかりが長かったから。旅館に人が、ばんばん来てもらうようになるといいんですけど」
旅館に戻り、仕込んでいるのは翌日訪れる客に出す料理。久しぶりの感覚に、笑みがこぼれます。

土山さん「皮を厚くむいたほうが、炊き上がりがきれいで食感もいいんですよ」
作業は、夜遅くまで続きました。














