森友学園への国有地売却を巡る決裁文書の改ざん問題で、自殺した財務省近畿財務局元職員の墓を加藤勝信前財務大臣が訪れました。財務大臣経験者の墓参りは初めてです。
30日午前9時すぎ、花をもって訪れた加藤勝信前財務大臣は岡山県にある近畿財務局の元職員・赤木俊夫さん(当時54)の墓に手を合わせた後、墓前で俊夫さんの妻・雅子さんと会話を交わしました。
雅子さん「加藤さんのおかげで開示が進みました」
加藤氏「これからですけどね」
雅子さん「石破さんと加藤さんのおかげで開示に進んだのでもう一歩、もう一歩と」
雅子さんの夫の俊夫さんは森友学園への国有地売却をめぐる決裁文書の改ざんを命じられたことを苦に自殺しました。雅子さんは、改ざんをめぐり財務省が任意で検察に提出した文書などの開示を求めていました。
国は一度不開示の決定をしましたが、今年1月に大阪高裁が国に対して決定の取り消しを命じ、当時、財務大臣だった加藤氏が開示決定を行いました。そして、今年4月からこれまでに5回にわたり約9万ページの文書やメールなどの電子データの開示が行われています。
また、雅子さんは今年10月、当時の加藤勝信財務大臣に改ざん問題の再調査を求める手紙を出したところ、俊夫さんが「公務に起因して自死に至った」ことへの謝罪などが書かれた「直筆」の返信が加藤氏から届いていました。
加藤氏は墓参りの後、取材に応じ手を合わせた際の思いを次のように話しました。
(加藤勝信前財務大臣)「本当に長きにわたって一生懸命に仕事をしていただいたことに対する感謝とそうした仕事の中で、改ざんをせざるを得なかった。 そういった中で、残念ながらお亡くなりになられた。そうした事態に対するお詫びとそしてこうしたことを二度と起こさない、私としての誓い、これをお墓に向かって申し上げさせていただきました」
こう述べたうえで、雅子さんが求めている再調査について、一国会議員として問われた加藤氏は次のように話しました。
(加藤勝信前財務大臣)「そういう話は前からもお聞きしています。財務省の中で、資料を含めて、できる限りの調査をさせていただいた。その状況は変わってないというふうに思います。したがって、まずは、情報を開示させていただく、これが第一だということです。見る側も大変だと思いますが、やはりそれが大事だと思います」
加藤氏の墓参りを受けて雅子さんは‥
(雅子さん)「今日直接お会いして、開示についてお礼を言うことができたので、良かったなと思っています。これから17万枚全部出てみないとわからないんですけど、少しでも夫が何で改ざんをすることになったのかが分かればいいなと」
そしてこの1年を次のように振り返りました。
(雅子さん)「今年1月、高裁で判決で勝ってから、あっという間なんですけど、この1年が長いようで、短いようで、色々ありましたけど、今年のうちに、加藤さんがお墓参りに来てくださるということは、本当にいい1年になったなと思います」
▼真相解明のため第三者の調査を要望
一方で改ざんを指示したとされる当時、理財局長だった佐川宣寿氏のメールはこれまでの開示では「cc」など情報共有者として含まれるものだけしか確認されていません。財務省は、当時のメールシステムはメールの保存期限が最大2か月で、佐川氏が発信元となるメールは保存期限が切れており「存在しない」との説明を雅子さん側に行っています。
雅子さんは改ざんの真相解明を求めて今後の開示に向けての決意を語りました。
(雅子さん)「開示は来年も続くと思うんですけれども、なかなか開示文書の中に佐川さんの指示であるとか、そういった方たちの言葉を見つけるのは難しいんですが、それでも、土地の売却と、当時どのようにして改ざん作業にあたったのかを、知ることができるので、これからまだ続けていけたらなと思っています」
改ざんは誰が発案しどういった内容の指示のもと行われたのか。雅子さんは第三者による再調査を強く求めています。
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