二重の床板、大鳥居の工法…嚴島神社の知られざる一面

満潮時には、回廊近くまで水面が広がり、幻想的な雰囲気を醸し出す嚴島神社。有吉さん一行が靴のまま上がっている木の床は養生板で、実はその下に国宝の床が隠れる二重構造になっています。昭和40年代までは養生板がなかったため、靴の下に草履をはいて国宝の床を直接踏まないようにしていたそうです。

寝殿造(しんでんづくり)の中心部、嚴島神社の本殿には、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、田心姫命(たごりひめのみこと)、湍津姫命(たぎつひめのみこと)の三柱の女神が祀られています。海や交通安全、財福、芸能の神として信仰を集めています。ここでも、二拝二拍手一拝。振り向けば、視線の先にあるのは、あの大鳥居です。

大鳥居にも、意外な真実が隠されています。それは、鳥居の支柱が海底に埋まっておらず、基礎部分に「乗っている」だけということ。基礎部分には、無数の杭が打ち込まれ、石が敷き詰められています。その上に、計6本の支柱が乗っているのだそうです。大鳥居の重さはおよそ60トン。絶妙なバランスで海上に鎮座しているのでした。

「霊峰・弥山(みせん)を含めた島そのものが神様の体として信仰の対象となってきたのが、ここ宮島です。神様の上に建てるのは畏れ多いとのことで、嚴島神社の社殿は海上に建てられたと言われています」

古くは、島全体が神域で禁足地とされてきた宮島。嚴島神社のように、祓戸で自らを清めるのが習わしという神社は、全国的に見ても珍しいということです。明けて2026年。嚴島神社は、ユネスコ世界文化遺産に登録されてから丸30年の節目を迎えます。