能登半島地震の発生からまもなく2年となります。地震のあと、豪雨による被害も受けた石川県の被災地。「子どもたちを笑顔に」「能登から新しい未来を」。クリスマスを迎え、新たな動きが始まっています。

秘密基地のようなトンネルに…その上には巨大な滑り台。クリスマスのきょう、石川県珠洲市に子どもたちのための遊び場「すずっこひろば」がオープン。

震災の爪痕が残る珠洲市。まだ、子どもたちが外へ遊びに行くのも不安があるといいます。

「地震のあとの道路のひび割れとかがどうしても気になって。なかなか危なくて出にくい」
「外を気軽に歩けるかというと、ちょっとまだ歩きづらいかな」

オープンを目前に控えたおととい、子どもたちを迎えるための準備が進んでいました。

ピースウィンズ・ジャパン珠洲事務所 瀬川しのぶさん
「なんですか、きょうは?」

ひらみゆき農園
「シュークリーム。能登のイチゴとブルーベリーとカスタード」

ひろばの運営に携わる能登出身の瀬川しのぶさん。能登の食材を使った料理を作るフードコーディネーターとしても活躍していて、オープン初日を盛り上げようと、地元の飲食店にも声をかけていました。

ピースウィンズ・ジャパン珠洲事務所 瀬川しのぶさん
「応援するというのはおこがましいですけど、何か力になることがあれば、これからもしていきたいと思います」

去年1月の巨大地震の発生からまもなく2年。被災地では人口の流出が止まらず、被害が大きかった4つの市や町では、地震発生前から1割以上、人口が減少。

仕事の少なさや教育環境の不十分さなどから、40歳以下の流出が進んでいるといいます。さらに…。

記者
「漁港に向かっていく橋では現在も工事が続いています」

1階部分が潰れた家やブルーシートがかけられた家…。再建のめどが立っていないのが現状です。

住民
「復興っていうか…(珠洲市)宝立は復興していないです。家は建たないと思いますよ。誰も建てる人がいませんので、この辺はね」

輪島市町野町にある唯一のスーパーマーケット「もとやスーパー」。ここも大きな被害を受けました。

もとやスーパー 本谷一知 社長
「スーパーマーケットって“インフラ業”。奥能登にどういうふうに貢献できるか」

店の社長の本谷一知さん。2024年1月、震災直後でも、地元の人たちのために営業を続けました。さらに、9月に豪雨災害で店は壊滅状態になり、営業を諦めかけた本谷さんですが、それでも地元の人のために2か月後には営業を再開。

今年1月に取材した当時は、作業員向けの商品が多く並んでいましたが、今では…

もとやスーパー 本谷一知 社長
「一般のお客さんの需要を取り込まなければいけないので、だんだん売り場も変わってきましたよね。『最低限のものだけあればいい』というフェーズが終わって、(需要が)おいしいものや変わったものになってきている」

野菜なども、より鮮度を保った状態で提供できるようになりました。

地元のお客さん
「魚や豆腐は毎日欠かせないし」
「やっぱり、地元に店がないとね」

多くの支援物資が集まっていたコーナーは…

もとやスーパー 本谷一知 社長
「(Q.いまは物資が来ることはあまりない?)たまに来るけどね。(Q.〔震災からまもなく2年〕どんなフェーズに?)『新しいものが徐々に徐々に建ってくる』っていうのが奥能登の来年のフェーズ。僕らも含めて」

“日常”を取り戻しつつあるなか、本谷さんはこの地区の復興の象徴であるスーパーを進化させたいと考えています。

もとやスーパー 本谷一知 社長
「変革しながら、この奥能登でも貢献できる業態『泊まれるスーパー』をする」

宿泊施設を伴ったスーパー、その名も「Motoya Base」。店の3分の2を旅行客と地元住民の交流・宿泊スペースにする計画です。

もとやスーパー 本谷一知 社長
「『新しいものを能登から』。能登は田舎で終わりではなく、『能登から始まる日本の未来』」