助け合う関係へ――『ラストマン』と重なるメッセージ

視覚障害のある人を単に「助けが必要な人」として一面的に捉えるのではなく、社会の中でどのような関係性を築いていくのかという視点が、いま改めて求められている。

ハチさんは、「助けてもらうことが多いのは事実」と前置きしつつも、「私たちにも、できることはある」と語る。
助ける側・助けられる側と線を引くのではなく、同じ社会で暮らし、必要な時に手を差し伸べ合う関係でありたい。皆実と、実の弟で警視庁捜査一課・警部補の護道心太朗(大泉洋)がバディとして並び立つ姿にも、そんな理想が重なるという。

ぐっちさんも、『ラストマン』が描く視覚障害の在り方に、新しさを感じたと話す。

「頑張っている姿を強調するだけではなく、視覚障害ならではの感覚を強みとして描いている。でも同時に、サポートが必要な現実もきちんと描かれている。そのバランスがとてもリアルでした」。

その描写は、当事者の実感とも重なり合い、共に生きる社会のあり方を静かに問いかけている。

スペシャルドラマ『ラストマン-全盲の捜査官- FAKE/TRUTH』より

見えない世界には、見える世界とは異なる感覚や知恵がある。それは支援や配慮だけに頼ったものではなく、工夫や技術、そして人との対話の中で培われてきたものだ。そうした声に耳を傾けることが、さまざまな背景を持つ人たちと共に生きる社会を考える確かな手がかりになる。