スマートフォンとAIが広げた「1人でできること」
生活を大きく変えたものとして、ぐっちさんとハチさんが口をそろえて挙げるのが、スマートフォンの進化だ。
文字認識機能によって、これまで読めなかった書類の内容が把握できるようになった。視力を徐々に失ったというハチさんは、「プリント1枚が読めないことが、以前は本当にストレスだった」と振り返る。
「今は、ふと目を向ける感覚でスマホをかざせば、何が書いてあるのか分かる。そのこと自体がすごくうれしいです」。
ぐっちさんは、さらに印象的な変化として、自動販売機での体験を挙げた。かつては、1人で飲み物を買うことができず、誰かに頼らなければならなかったという。しかし、スマートフォンとAIの発展によって、カメラをかざせば商品情報が音声で分かり、機種によってはスマホと連携して購入まで完結できるようになった。
「“ジュースを買う”という本当に何でもない行為が、1人でできるようになる。その積み重ねが、日常の快適さを大きく変えてくれました」。
こうした小さな「できること」の積み重ねが、視覚障害のある人の生活の選択肢を確実に広げている。














