“見える側”が担う役割――暗闇の体験を支える橋渡し
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」では、暗闇の中だけでなく、“見える側”がどのように関わるかもまた、体験の大切な一部となっている。
くらもちさんとしろはたさんは、暗闇の外で参加者を支える役割を担っている。来場者を迎え、暗闇に入る前の不安や緊張に寄り添い、体験後には感想を受け止める。暗闇の案内役であるぐっちさん、ハチさんへとつなぐ、大切な橋渡し役だ。
くらもちさんは、「体験後は、皆さん本当に饒舌になります」と話す。暗闇の中で感じたことを言葉にする中で、「できないことは、できないと言っていい」「こんなに周りが助けてくれる」といった気付きを持ち帰る人も多いという。
そうした感覚は、皆実広見の在り方とも重なる。「自分は目が見えない。だから助けが必要だ」と言葉にする皆実の姿は、弱さを隠さずに差し出す強さを体現している。くらもちさんは、その姿勢が「関わりたい」「助けたい」「そして助けられたい」という循環を生んでいると感じたと語る。
しろはたさんも、参加者の言葉が印象に残っているという。暗闇の中で案内をするアテンドの姿を「スーパーマンみたいだった」と表現する人がいた一方で、その存在が特別な誰かではなく、日常の延長線上にあることに気付いたという声も多かった。
「声をかけやすくなった」「身近に感じられるようになった」。
体験を通して、視覚障害のある人が“遠い存在”ではなく、同じ社会で生活する仲間として感じられるようになる。こうした体験の積み重ねが、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」が目指しているものだ。














