暗闇体験が生む対話と人の距離の変化
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」での普段の活動について、ぐっちさんは「全く光のない暗闇の中で、お客さんをご案内する仕事をしています」と説明する。
それは“視覚障害を疑似体験してもらうこと”が目的ではない。一般的に、視覚に障害のない人は感覚情報の約80%を視覚から得ているといわれている。あえて“見えない”状況に身を置くことで、聴覚や触覚、嗅覚といった他の感覚に意識を向け、その豊かさを楽しんでもらう体験なのだという。
暗闇の中では、初対面同士の参加者が自然と会話を交わし、距離を縮めていく。「グループで会場内に入るのですが、すぐに親しくなれるんです。人と人とのつながりが深まるのも、この仕事の特徴だと思います」と、ぐっちさんは語る。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の“ダイアログ(dialogue)”は「対話」を意味する。暗闇という環境に身を置くことで、「怖い」「助けて」といった言葉を、参加者自身が口にしやすくなる。その変化こそが、この体験の大きな価値だと、ハチさんは言う。
プログラムは季節ごとに内容が変わり、秋には運動会、冬には冬ならではのコンテンツを実施。視覚以外の感覚をフルに使いながら楽しめる構成になっている。「聴覚や触覚、嗅覚、味覚で楽しんでもらう体験になっています」と、ハチさんは説明する。














