上皇さまがきょう、92歳の誕生日を迎えられました。2度の入院を乗り越え、“ライフワーク”のハゼの研究にも励まれた1年でした。

上皇后美智子さまと手を繋ぎ、仲むつまじく話をされる上皇さま。きょう、92歳の誕生日を迎えられました。

お住まいには、天皇皇后両陛下のほか、孫の愛子さまや佳子さまが訪れ、お祝いのあいさつをされました。

今年の上皇さまは病との闘いでした。5月と7月には、「無症候性心筋虚血」などの症状で2度入院。入院は13年ぶりのことでした。

退院後は投薬治療をしながら、上皇后さまと筋力維持のための運動を続けられています。側近によりますと、現在は「安定した状態で維持されている」ということです。

退院後には、静養のため長野県軽井沢町へ。キャベツ畑に足を運ばれました。

上皇さま
「本当によく見えるね」

秋には、神奈川県の葉山御用邸近くの岬「小磯の鼻」を散策されました。「小磯の鼻」は上皇后さまと何度も訪れた思い出の場所です。

上皇さま
「尾っぽよく巻いてるね。雑種?」

「保護犬なんです」


上皇さま
「いくつなんです?」

「1歳5か月です」

上皇さま
「元気ですね」

上皇后さま
「くまモンの靴」


上皇さま
「きょうは静かで良い海ですよね」

今年は「戦後80年」の節目。天皇皇后両陛下が「慰霊の旅」をされる姿を上皇さまは静かに見守られたといいます。

お住まいの仙洞御所では、戦争に関するテレビ番組を見たり、およそ1万4000人の日本人が捕虜としてモンゴルに送られた「モンゴル抑留」についての文書を読むなどして過ごされました。

そして、「終戦の日」などには黙とうを捧げられたといいます。

側近
「疎開時代の思い出やフィリピン訪問時に面会した残留2世の人を思い起こすなど、たびたび先の大戦と向き合われました」

60年以上続けているハゼの研究にも精力的に励まれました。皇居にある「生物学研究所」に何度も通われる姿に、長年親交のある魚類学者は驚きを隠せません。

京都大学 中坊徹次 名誉教授
「すばらしいですよ、脱帽ですね。私も年いったら、ああ、ありたい」

これまでに10種の新種を発見するなどした上皇さま。その実力は「第一級」だといいます。

京都大学 中坊徹次 名誉教授
「ぱっと見てよく似たハゼなんですよ。それを水槽におかれて眺められて、『これ泳ぎ方が違う』ということを見つけられましてね。論文をお書きになったことがあります。もし、お立場が皇太子殿下とか天皇じゃなかったら、第一級の魚類学者だと思っています」

側近によりますと、上皇さまはオンラインで行われる研究会にも出席されているということです。

京都大学 中坊徹次 名誉教授
「(上皇さまは)誠実・誠意そのものの方です。それはご公務も研究も同じなんですよ。いつまでもお健やかに標本をご覧になっていただきたい」