偶然から始まったミュージカル曲制作と、想定外の広がり

ドラマ『不適切にもほどがある!』のMAYUKOさんが手掛けたミュージカル曲の譜面

『不適切にもほどがある!』の脚本を初めて読んだ時、MAYUKOさんはミュージカルシーンについて「どう表現するんだろう」と感じたそうだ。

宮藤官九郎さんの脚本作品に参加するのは、2017年に放送された『監獄のお姫様』(TBS系)ぶり。作中に出てくる会社の商品「江戸っ子ヨーグルト」のテーマソングを担当した。その際にもMAYUKOさんが制作した楽曲を出演者が歌うシーンがあったが、今回はさらに“ミュージカル色”が強くなっており、やる気がみなぎったという。

MAYUKOさんへのミュージカル曲制作の依頼は“偶然”から始まった。劇伴担当として参加が決まっていた中、制作陣が彼女のミュージカル好きを知っていたことがきっかけだった。初回の打ち合わせを振り返り、MAYUKOさんはこう語る。

「最初の打ち合わせでは、“ミュージカルシーンがあります”というのがビッグコンテンツの1つでしたが、全話で作るという話ではなかったと思うんです。第1話は作るとして、第2話、第3話くらいまで作って、その3曲をアレンジ違いで回せたら…という話だったはずで」と当初は“数曲をバリエーションで展開する”案だった。

しかし、“10話全てに新規で楽曲を作る”ということに。「毎回歌う人も違うし、シチュエーションも違う。現代のシーンもあれば昭和のシーンもある。セリフに合わせて、何小節か空けておくなどの工夫も必要になってくるので、毎話作ることになって良かったです」と、結果としてベストな判断だったと語る。