《"小住健蔵"名義で身分証を不正取得…消えたチェ・スンチョルは》
北朝鮮はかつて短波放送で、本国からの指令を暗号化して、国外に潜伏する工作員らに送っていた。1985年、その指令を受けていたと思われる、北朝鮮の組織が摘発された。
西新井事件と呼ばれ、組織のアジトからは、ラジオや乱数表などが押収された。数々の押収品の中には「小住健蔵」名義の身分証明書もあった。

事件を担当した元捜査員
「私の部下が、函館に行き、小住健蔵さんの親族に最終確認ということで、免許証を見せています。その写真を見せて『どうですか、弟さんですか?』と尋ねたら、親族は『違います』と答えました」
押収された小住健蔵名義のパスポートには、北朝鮮の工作員、チェ・スンチョルの顔写真が貼られていた。チェは、不正に取得した「小住健蔵」名義のパスポートで、渡航を繰り返していたとみられる。

事件を担当した元捜査員
「永遠に〝小住〟に成りすますのであれば、本物の小住健蔵さんは邪魔になるので、共和国(北朝鮮)に連れて行ったというのが、チェの協力者Aの考えでした。『じゃあ、どうやって?」と質したが、一切、内偵でも分からなかった…。その辺は、まったく残念ながら出てこなかったんです」
背乗りされた小住健蔵さんの行方は、いまも分かっていない。














