歴史大作は減っている韓国ドラマの現状

9日間の研修ではさまざまなエンターテインメントプログラムを用意しており、学生たちは休む暇なくそれらと向き合っていきます。

韓国でドラマプロデューサーとして大いに活躍している2人に講演して頂くことができました。いずれも韓国を代表する制作会社に所属しており、おひとりはベテラン、もうおひとりは新進気鋭の方です。

読者の中には、韓国ドラマといえば歴史的な長尺もの、日本でいうNHK大河ドラマのような作品を連想する方がいらっしゃるかもしれません。ですが現在韓国のドラマでは、そうした大作・長尺ものの数は随分減っています。年長のプロデューサーは、その理由について端的に「視聴率が取れないこと」、「制作費がかさむこと」を挙げてくれました。若手のプロデューサーの方は、もはやそのジャンルのドラマ制作の経験さえしていないようでした。

では、恋愛系を始めとする人気ドラマの現状はどうかと言えば、概ね現在では視聴率5~10%にとどまっている作品がほとんどを占めているとのこと。ですが、韓国ドラマが苦境に立たされているというのは早計で、リアルタイム視聴の減少や視聴者が好む番組が分散化していると捉えた方がいいと思います。

ただ、韓国においても若者を中心としたテレビ離れが年々進んでいることは間違いないところです。そうした傾向も、まさに日本と近しいと言えるでしょう。

韓国ドラマの現状を聞き、学生たちは正直私たちほど衝撃を受けている様子はありませんでした。2年前の研修参加者に比べて、彼女たちの興味はドラマよりも、さらにK-POPの方に集中している事実が大きいせいもあるのだろうと感じました。

かつては、出たとこ勝負的に現場で脚本を作ることさえ珍しくなかったとも聞く韓国ドラマですが、ベテランプロデューサーからは、「ドラマ制作において一番重要な要素は『脚本』です」との言葉がありました。「私も大学の講義で学生たちにそう伝えています」とお応えしたのでした。

訪問した梨花女子大学の大講堂、キャンパス内には映画館もある