布団をかぶって泣く 誰にも知られないように
その後、父親の会社の方から家事や弁護士の手配などをサポートする人が入り生活の面で苦労することはなかったという。でも、御手洗さんの体は悲鳴を上げていた。
御手洗さん:
「眠れないんです。事件直後の夜から全く睡眠らしい睡眠をとった記憶がない。常に眠たい。でもご飯は心配かけたくないからしっかり食べる。寝る時間も割とちゃんと決めて寝るんですけど実際は眠れない。人前で泣かないと決めて徹底していたので、布団の中に入って、誰もいなくなって布団をかぶって泣く…、寝る…って言うのを繰り返していました」
事件直後、小学校には心のケアの専門家らが入り児童らのサポートを行った。しかし中学校にはそのサポートはなかったという。
「学校に戻りたい?」―ハイというしかない

しばらくして、御手洗さんは「学校に戻りたいか?戻りたくないか?」と聞かれた。父親に心配をかけるわけにいかないので戻るしかなかった。「戻りたいです」と伝えると、とんとん拍子に話は進み、当時入っていたバスケ部の練習から戻ることになった。
病院に行ったり、カウンセリングを受けることは一度もなかった。自分が今どんな状態になっているのか?―自分にも分からなかった。
受け入れる側のクラスメイトは事前に相談し、事件前と全く変わらない対応で迎えてくれた。御手洗さんは「自分にとってすごく楽に場所に戻っていけた」と話した。一方で、ぜひ皆さんに考えて欲しいことがあると言葉を続けた。













