日中関係で緊張が続く中、渡航自粛のほかに影響がでているのが日本産海産物の輸出です。再開の見通しが立たない中、敢えて輸入規制の撤廃に踏み切った台湾の背景を取材しました。
平日にもかかわらず、多くの観光客で賑わう浅草。
着物店の店長
「この1か月、中国からの客は今のところ、どなたもいらしていない」
影響は大きいといいますが、別の国のツアー客を新たに呼び込むなどして対応しています。
着物店の店長
「庶民は庶民同士、みんなで仲良く笑顔で、全員が楽しいというのが良い」
先月、高市総理の台湾有事に関する答弁をめぐり、日本への渡航を自粛するよう呼びかけた中国。さらに、ホタテやナマコなどの日本産水産物の輸出再開も、再び暗礁に乗り上げました。
これを受けて、対照的な行動に出たのが…
台北の日本居酒屋 李杰軒 店長
「ブリ、イカ、ウニは日本産です」
台湾にある日本居酒屋。海鮮の8割を日本から輸入しています。
台北の日本居酒屋 李杰軒 店長
「検査を受けて安全なものであれば、台湾人はみんな歓迎しますよ」
実は台湾では、中国が日本産水産物の輸入を事実上停止する措置をとった翌日、台湾の頼清徳総統が「きょうの昼食は、お寿司と味噌汁です」と自身のSNSに写真付きで投稿。その後、台湾当局が日本産食品の輸入規制をすべて撤廃しました。
一面に広がるパイナップル畑。実は、このパイナップルが4年前、中国の標的になりました。
農産物貿易会社 洪偉誠 社長
「2021年に中国は突然、台湾のパイナップルの禁輸を発表しました」
当時、パイナップル輸出先の9割を占めていた中国。ところが、中国は「害虫が発見された」として、パイナップルの禁輸を発表。中国と距離を置く蔡英文政権に対し、経済的圧力をかけたのです。
農産物貿易会社 洪偉誠 社長
「(禁輸によって)多くの農家がパイナップル栽培をやめてしまいました」
その状況で声を上げたのが日本。その結果、日本の台湾産パイナップルの輸入量は、5年前に比べて10倍近くに増加。日本は「最大の輸出先」になりました。
農産物貿易会社 洪偉誠 社長
「だからこそ、いま台湾の各業界は頼清徳総統の呼びかけに応じ、できるだけ日本の製品を買ったり、日本へ旅行をしようという動きがあるのです」
中国によって、度々切られる“禁輸のカード”。台湾は「市場の分散化」によって、リスク管理を行っているといいます。
台湾民進党 王定宇 議員
「(今回のような)特殊な状況にあるときには、お互い助け合うネットワークが重要。中国に対し、このような経済的な脅迫は意味がないと知らせなくてはなりません」
台湾と同じく“中国リスク”と隣り合わせの日本。影響を最小限にするための対策が求められています。
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