若年、そして男性で秋イメージが貧困

若年男性は、秋のイメージが貧困なのか?これを確認しようと行ったのが「秋にふさわしいと思うもの」の選択数に注目した集計で、結果は次の帯グラフの通り。

これを見れば一目瞭然。「秋にふさわしいと思うもの」の数が、若年層ほど少なく、年配層ほど多くなっています。

こうした傾向は男女ともに見られますが、同年代で男女を比べると、男性より女性のほうが選択数が多い様子。つまり、女性のほうが男性より「あれも秋らしい、これも秋らしい」と連想するものが多い人が多く、それは年代が高まるほど増えるということ。裏を返せば、若年男性が「秋」で思いつくのは紅葉か、せいぜいハロウィンくらいという感じ。

「スポーツの秋」「読書の秋」「食欲の秋」と、気候のよい秋は何かをするのにちょうどよい季節。それが無い「二季」では、極めて暑い夏と極めて寒い冬を生き延びるのに精一杯で、季節を味わうどころではなくなること必至。

その前に、秋のイメージが「あんな楽しみもこんな風情もある」という豊かなものから、画一的で痩せたものになっているとしたら、失われて惜しいという気持ちも弱いのではと危惧します。

しかし、年配層で秋イメージの豊かな人が多いのが、人生経験の多さによるものなら、若年層の秋イメージも年を重ねるとともに豊かになるかも。

それにしても、二季化は困る、地球温暖化は何とかすべき、という思いを強めるためにも、「秋らしい秋」が味わえたらよかったのですが。

注1:現在の正式名称は、〈「現代用語の基礎知識」選 T&D保険グループ 新語・流行語大賞〉です。
注2:TBS総合嗜好調査は、衣食住から趣味レジャー、人物・企業から、ものの考え方や行動まで、ありとあらゆる領域の「好きなもの」を調べる質問紙調査です。TBSテレビが、東京地区(1975年以降)と阪神地区(1979年以降)で毎年10月に実施し、対象者年齢は、1975年が18~59歳、76~2004年が13~59歳、05~13年が13~69歳、14年以降は13~74歳となっています。
注3:2024年調査も14年調査も、実施時期は10月、対象は13〜74歳男女です。東京地区の回答者数は24年が1,281人、14年が1,286人でした。記載した数字は小数第一位を四捨五入しています。
注4:選択肢の正確な表記は「運動会(体育祭)」です。

引用・参考文献
●「現代用語の基礎知識」選 T&D保険グループ 新語・流行語大賞

<執筆者略歴>
江利川 滋(えりかわ・しげる)
1968年生。1996年TBS入社。
視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は法務・コンプライアンス方面を主務に、マーケティング&データ戦略局も兼任。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。