伊東市長選挙は、12月14日に投開票を迎えます。
新人、元職、前職の計9人で争う選挙戦。
前回の市長選でも争点となった「図書館問題」についての現状を取材しました。


<坂口将也記者>
「伊東市にある伊東図書館です。図書館が入る建物の上を見てみますと、外壁の一部がはがれていて、老朽化が目立っています」

年間のべ8万人の市民が利用する「伊東図書館」。長年にわたり市民に生涯学習の場を提供してきましたが、いま、深刻な「施設の老朽化」に悩まされています。


<伊東図書館 枝有希子館長>
Q:どういう状況?
「大体6,7年ほどぐらい前に、雨漏りによって天井がちょっと落ちてきてしまった。雨漏りがひどいので天井を剥がしてしまっている状態」

竣工から45年。建物の劣化が進む中で天井のいたる場所から雨漏りがしています。応急処置でしのいでいるものの、雨漏りがひどい部屋にある本は、地下にある書庫に移動せざるを得ない状況だといいます。

<伊東図書館 枝有希子館長>
「一冊しかない本とかがありますので、そういった本が壊れたりしないように、なるべく私たちも対応するようにしている」

老朽化が進む図書館の整備をめぐっては、市は2017年度から移転・新築させる方針で「新図書館建設事業」に着手。
「まちのミュージアム」をコンセプトに、42億円の建設費を投じ、新たにカフェなどを設置し、2028年度のオープンを目指し計画を進めてきました。


しかし、5月の市長選で新図書館の建設反対を訴えた新人候補が当選。
市がこれまで進めてきた計画はストップし、新図書館の建設計画は白紙に戻りました。

図書館を今後どうしていくのか。市民の意見もさまざまです。

<市民>
「後々のこと考えたら、思い切ってお金をかけて、ずっと後まで『この建物あの時決断して良かったね、中身もすごく充実しているから』と代々誇れるような図書館にしてほしい」
<市民>
「私の考えはあまり図書館は利用していないので(お金を)これ以上の使う所があるかな。例えば学校だとか病院だとか、そういうところは全然図書館より重要かな」
<市民>
「難しいですよね。お金のこともあるんでしょうから(機能との)バランスは大事ですよね」

揺れる図書館問題。市の担当者は新図書館をめぐる議論の長期化に懸念を示します。

<伊東市教育委員会 生涯学習課 山下匡弘課長>
「新図書館建設をゼロベースで今後また始めるとするならば、少なくとも着工まではやはり5年は必要。本を揃えるとか準備などもありますので、その辺を考えると10年ぐらいが実際オープンまでにはかかってくるんじゃないかなと思う」

現図書館の改修か、新図書館の建設か。新市長には未来を見据えた判断が求められます。


【「図書館問題」についての各候補の主張】
今回、SBSを含む地元報道機関と伊東記者クラブは立候補者にアンケートを実施し、9人全員から回答を得ました。「図書館問題」についての各候補の主張です。

<新人・利岡正基氏>
「市民の声を基に機能を再設計する。1ヵ所にこだわらず、複数配置も検討」

<新人・石島明美氏>
「図書館は市民の居場所。国の補助金を積極的に活用して建設を目指す」

<元職・小野達也氏>
「市民の意見を徹底的に反映させ、ゼロベースから計画を再考する」

<新人・岩渕完二氏>
「地元企業と市民とで計画を作り3ヵ月を目途として完成早期に着工する」

<新人・黒坪則之氏>
「メインの図書館は市役所庁舎内へ。サブのスペースを伊東駅や伊豆高原駅近くに用意」

<新人・杉本憲也氏>
「現建物の耐震性問題等を踏まえ、市民と必要性含め計画すべてを見直していく」

<前職・田久保真紀氏>
「今やるべきは新しい図書館ではない。市内全域に本が行き渡る仕組み作りなどを進める」

<新人・大野恭弘氏>
「商店街の近くに建設することにより、幾分かの人通りを増やす効果があると考える」

<新人・鈴木奈々子氏>
「旧図書館の長寿化をはかり、40億円のコストは観光業の促進などで有効に活用すべき」