今年5月12日、高知県大月町の観音崎の沖合で、漁船同士が衝突して1隻が沈没し、技能実習生1人がけがをした事故で、宿毛海上保安署は12月10日、双方の漁船の船長を業務上過失往来危険の疑いで書類送検しました。

書類送検されたのは、まき網漁船「第三十八源漁丸」の船長で高知県宿毛市に住む67歳の会社員の男性と、まき網漁船「第80蛭子丸」の船長で高知県大月町に住む37歳の会社員の男性です。

衝突した「第三十八源漁丸」の、損傷した船首部(提供:宿毛海上保安署)

この事故は、今年5月12日の午後7時40分ごろ、観音崎の北西1.6km付近の海上で、航行していたまき網漁船「第三十八源漁丸」が、停泊中のまき網漁船「第80蛭子丸」に衝突したもので、衝突された「第80蛭子丸」は沈没し、乗組員だったインドネシア人の技能実習生の男性(20)が壁に頭を打つ軽いけがをしました。

事故後も宿毛海上保安署が捜査を続けたところ、「第三十八源漁丸」は定係港である泊浦漁港から沖ノ島付近に向かって航行中し、「第80蛭子丸」は現場海域でいかりを下ろして止まっていて、双方の船長が前方などの見張りを怠った結果、事故が発生したことがわかりました。

沈没した「第80蛭子丸」は10月10日に引き上げられた(提供:宿毛海上保安署)

このため宿毛海上保安署は、12月10日、双方の船長2人を、業務上過失往来危険の疑いで、高知地方検察庁中村支部に書類送検しました。

調べに対し2人は、「見張りをしていなかった」と、容疑を認める供述をしているということです。

なお、この事故で衝突された「第80蛭子丸」は、現場の70m海底に沈没しましたが、10月10日に引き上げられています。