旧統一教会の田中富広会長が午後4時から開いた記者会見で会長を辞任すると明らかにした上で、「私たちの活動が一部の方々に深い心痛を与えたことは決して軽視できない。会長としてその事態を真摯に受け止める」と述べました。

旧統一教会をめぐっては、安倍晋三元総理が殺害された銃撃事件をきっかけに「高額献金」などの問題が改めて注目され、東京地裁は今年3月、「信者によって行われた不法な献金行為で甚大な被害が生じた」などとして教団に解散命令を出しています。

教団側はこの決定を不服として即時抗告していますが、東京高裁での審理も先月(11月)、教団側が最終主張書面を提出して終結し、東京高裁は今年度内にも解散命令の是非を判断する可能性があります。

こうした中、旧統一教会の田中富広会長がきょう(9日)午後4時から都内の教団本部で記者会見を開き、きょう付けで会長を辞任すると明らかにしました。

田中会長は会見でその理由について、「私達の活動が一部の方々に深いご心痛を与えたことは決して軽視できない。会長としてその事態を真摯に受け止め、社会からの信頼回復に向けた一歩を踏み出すため辞任を決意した」とし、「改めてお詫びさせていただきます」と述べました。

辞任の理由として、今年11月に解散命令請求に対する高裁での審理が終結し、決定を待つのみとなったこともあげました。

田中氏は2020年に会長に就任し、一連の問題に対応してきました。

次の会長には、堀正一・元副会長が就任するとしています。

記者から「被害者への謝罪か」と問われた田中会長は、「今までいわゆる犯罪を犯したことは1件もない。今日まで歩んできた足跡の中で、処罰に繋がるような刑事責任、賠償に繋がるような民事責任という枠組みにおけるお詫びと謝罪ということではなく、そこに痛みを訴える方、被害を訴える方がいる。その領域に対して、今日は謝罪の意を込めておわびをさせていただきました」としました。

また、奈良地裁で審理が進む山上徹也被告の裁判については、「山上被告の動機が本当に真実だったのか。おそらく1個だけではなく、いろんな複雑な要因があったのだろうとは思う。法廷でどこまで真実が語られていくのかわからないが、知りたい」と述べました。