皇后さまが12月9日、62歳の誕生日を迎え、この1年の感想を寄せられました。文書の中では、戦後80年の節目にあたり、平和を守る大切さを強く訴えられました。
■「戦後80年」
冒頭「戦後80年」の節目を迎えたことに触れ、「先の大戦において我が国を含む世界の各地で多くの尊い命が失われたことに思いを致しながら過ごしてきました」とつづられました。皇后さまは、4月に小笠原諸島の硫黄島、6月に沖縄・広島、9月に長崎、10月には東京都慰霊堂を訪問。陛下や愛子さまと各地で供花・拝礼したほか、戦争の記憶を語り継ぐ住民らと懇談されました。「戦争を実際に知る世代が少なくなってきている中で、これらの方々から直接お話を伺えたことは、愛子も含めて私たちにとってとても有り難いことでした。辛い体験を話して下さった御高齢の方々に心から感謝したいと思います」と謝意を述べたうえ、「今後とも永続的に平和を守っていくことの大切さを改めて深く心に刻む年になりました」とコメント。また、その実現のため「人々がお互いを知り、理解するよう努め、違いも認め合いながら思いやりの気持ちを持って尊重し合い、対話を大事にする、そのような寛容で包摂性のある社会であってほしいと願います」と、平和を守るために社会に対して願うことを改めてつづられました。
■モンゴル公式訪問
7月には、国賓として両陛下でモンゴルを訪問。歓迎したフレルスフ大統領夫妻やモンゴル国民への感謝の気持ちをつづられました。また、抑留中に亡くなった日本人の慰霊碑を訪れたことについて、「モンゴルの極寒の地で故郷を思いながら亡くなった方々の苦難や苦しみに思いを馳せながら、花をお供えしました」と振り返られました。
現地では、両陛下でスポーツの祭典「ナーダム」を視察したほか、羊の骨をはじく伝統競技「シャガイ」を体験した際には、皇后さまが最高点を出して拍手が沸き起こるなど、和やかな雰囲気で交流されました。「私たちにとって様々な面で深く心に残る滞在となったモンゴルへの訪問に当たり、準備をしていただいた日本とモンゴル双方の関係者の皆様の尽力に、心から感謝いたします」と締めくくられました。
■長女・愛子さまと“家族”
「愛子は、日本赤十字社の嘱託職員として勤務し、周囲の方々に温かく導いていただきながら社会人としての経験を重ねるとともに、今年は初めて能登半島地震の被災地を訪れたり、防災推進国民大会への出席のために新潟県を訪問したりするなど、公務の幅も少しずつ広がり、一つ一つの公務に心を込めて取り組んでいます」とし、愛子さまが先月、ラオスを訪問したことについては、「今回の愛子の訪問により、私にとりましてもラオスがより身近に感じられるようになりましたが、今後、日本とラオスの人々の交流により、両国の間の友好の絆が更に深まっていくようであればうれしく思います。皆様には、今回の初めてのラオスへの訪問を温かく見守っていただいたことに感謝いたしますとともに、今後とも愛子を見守っていただけましたら幸いに存じます」とつづられました。
また、16年間一緒に過ごした愛犬「由莉」と今年6月に死別したことに触れ、「沢山の喜びや楽しみを与えてくれた由莉との別れは今でも淋しく感じられる」とし、新たに迎えた保護猫「美海」との生活については、「私たちに日々の新たな楽しみを与えてくれています」とコメントされました。
■結びに
皇后さまは感想の最後、「誕生日を迎えるに当たり、今年も多くの方に支えていただきながら、無事にこの日を迎えることができましたことに感謝しつつ、日頃より皆様から寄せていただいている温かいお気持ちに対し、改めて心からの御礼をお伝えいたします。これからも国民の皆様の幸せを祈りながら、できる限りの務めを果たすことができるよう努力していきたいと思います。そして、来年が我が国と世界の人々にとってより良い年となることを願っております」と締めくくられました。
■医師団の見解も
皇后さまの感想と別に、きょう(9日)、医師団が今年の皇后さまの体調について見解を発表しました。まず「工夫を重ねられ、御体調を整えられながら、努力されて御活動を続けていらっしゃいます」とした一方で、「皇后陛下には、御快復の途上にあり、依然として御体調には波がおありです。そのため、大きい行事の後や行事が続いた場合には、お疲れがしばらく残ることもあります」「公的なものに加え、私的な部分でも御活動の幅を広げていっていただくことが大切と考えております」とコメントしています。
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