横田めぐみさんとの出会い「いつもニコニコとあの可愛らしいえくぼを見せていました」

横田めぐみさん

平壌の招待所について数日後、組織の幹部らしい人が来て、別の招待所に移ることになった。
新しい招待所に着くと1人の女の子がいた。
笑顔で迎えてくれた。

その女の子は横田めぐみさんだった。
ちょうど曽我さんの妹と同じくらいの年だった。
2人はすぐに仲良くなった。

曽我ひとみさん
「あの時のめぐみさんの笑顔は今でも忘れることはありません。私といる時は、いつもニコニコとあの可愛らしいえくぼを見せていました」

めぐみさんとの8か月の生活は、慣れないこともあり大変だったが、それまでの孤独な生活を思えば大違いだった。
2人きりの時や寝静まった時など、誰にも気づかれないよう注意しながら日本語で話をした。
家族のこと、友達のこと、学校のこと。
外に出る機会がある時は、少し離れた場所に行って日本の歌をこっそり歌ったりもした。
指導員に見つかれば大目玉を食らうことは分かっていたが、2人とも日本が恋しかった。

曽我ひとみさん
「とにかく日本に帰りたかった。毎日、毎日どうしたら日本に帰れるか、何とかして帰れないかと考えてばかりいました。それはめぐみさんも同じ気持ちだったのです」

24年という長い年月がかかったが、帰国できたのは曽我さんだけだった。
めぐみさんは未だ北朝鮮にとらわれたままである。