「普通の生活をしている女の子も被害に」

元々、ノンフィクションライターとしてインドの社会問題を追っていた長谷川まり子さん。駆け出しの頃に訪れた売春街で少女たちの姿を目の当たりにし、取材を始めた。
貧しさゆえに親族から売られたり、仕事のあっせんを口実にブローカーに騙されたりして、連れて来られていた。
取材を続けるうちに、長谷川さんは被害者の救済をライフワークにしたいとNPO「ラリグラス・ジャパン」を立ち上げ、30年近く日本でも支援を募ってきた。そして、今。

長谷川まり子さん
「SNSがすごく発達して、Facebookなどからコンタクトを取って、女の子たちを騙して連れ去る。貧しい女の子だけではなく、普通の高校生とか、普通の生活をしている女の子たちも被害に遭っている」
長谷川さんが長年支援し、活動を共にしてきたインドのNGO「レスキュー・ファンデーション」。設立は1993年。世界各地から支援を受け、これまで7000人以上の被害者を救出してきた。

NGO「レスキュー・ファンデーション」トリベニ・アチャルヤ代表
「被害者で最も多いのはネパール出身の少女たちですが、最近ではバングラデシュやタイ、ウズベキスタン、インド国内から連れてこられた女の子もいます」
売春宿の内偵を行うのは、20人の調査員たち。情報提供者から寄せられた少女たちのデータを基に店を割り出し、潜入調査を行う。

主任調査員 アミッシュさん
「これは、“オーケストラ”と呼ばれる売春の手口です。結婚式などで少女たちが踊りを披露し、その後、売買される事例が増えています」
結婚式やパーティで踊る、ダンサーを募集する広告。近年、こうした求人で幼い少女たちを誘い出し、売春させる手口が相次いでいるという。
主任調査員のアミッシュさんに寄せられたのは、この“オーケストラ”に参加したまま行方不明になっているという少女の情報だ。

救出チームはインド東部の街に集まった。地元の警察と40人態勢で少女の救出活動を決行する。
チームが現場に足を踏み入れると、成人のダンサー2人が舞台に残っているだけで、少女の姿は会場にはなかった。直ちに周辺の捜索に向かう。














