豪雨による甚大な被害が出た東南アジアの被災地では、混乱のさなかに窃盗や略奪などの犯罪が起きていて、治安の悪化が懸念されています。大規模な洪水に見舞われたタイ南部の都市から中継です。

タイ南部の商業都市ハートヤイです。ここでは先週の大洪水で100人を超える犠牲者が出ました。車が泥につかって生活の足を奪われただけでなく、家財などすべてを失ったと嘆く声も聞こえてきます。

タイ政府は復旧を急いでいますが、一部で停電や断水が続いていて、路上には大量の廃棄物が放置され、処理も追いついていないのが現状です。

こうしたなかで増えているのが、窃盗や略奪といった犯罪です。

被災して無人になったコンビニは中の商品がほぼ盗まれています。店内は荒らされ、無残な状態になっています。

また、線路上で立ち往生した貨物列車から積み荷が持ち去られる被害もあり、逮捕者もでる事態となっています。

タイ警察はきのう夜、軍とともにおよそ100人態勢でパトロールを行ったのですが、その地区では銃の発砲事件も起きていて、地元住民は「警備を強化してほしい」と求めていました。

一方、豪雨で600人以上が死亡したインドネシアのスマトラ島でも、コンビニに大勢の市民が押し寄せ、食料品や日用品が略奪されました。

被災地では生活物資が不足するなか、治安の悪化が懸念されています。

【Q.国際社会からの支援は?】

日本政府はきのうから、JICA=国際協力機構を通じて、タイ南部の被災地にテントや毛布などの援助物資を届けています。

また、中国も支援を表明しています。

タイやインドネシアの被災者は400万人を超えるとされ、生活再建には年単位での時間がかかるとみられていて、息の長い支援が求められています。