答弁撤回はある?出口なき対立の行方
今回の日中関係悪化の引き金となった「台湾有事」に関する高市総理の答弁。大崎記者は、発言の経緯について「『存立危機事態にあたるかは日本政府が総合的に判断する』という答えは用意していたはずだが、(質問者から)それ以上の追及があった。『同じ答えを繰り返すのは良くない』と思った結果、アドリブで自分の普段のスタンスで答えたのでは」と解説する。
実際に11月26日の党首討論では、立憲民主党の野田佳彦代表が「持論をうっかり発言することは軽率なことになる」と批判したところ、高市総理が「これまでの答弁を繰り返すだけでは、予算委員会を止められてしまう可能性もある」「具体的な事例を挙げて聞かれたので、その範囲で誠実に答えたつもり」と説明した一幕もあった。

また、11月7日の答弁で注目すべきなのは「戦艦」という言葉だ。立山支局長は「役人が書いた答弁書ならば『艦船』か『軍艦』になるはず」と指摘。防衛省関係者も高市総理が自分の言葉で話したことを示す証拠だと話しているという。
緊張が続く日中関係の今後の見通しについて、立山支局長は「落とし所はない」との見方を示す。中国側が答弁の撤回を求めているのに対し、撤回の可能性が限りなく低いためだ。
大崎記者はその理由として、▼高市総理の発言の前提にある「政府が総合的に判断」という政府見解は変わっていないので撤回しようがないこと、また撤回することによって▼高市総理の支持層である保守派が離れるリスクがあることなどを挙げている。
こうした事情を踏まえると、日中関係の改善には時間がかかるとみられる。過去の沖縄県・尖閣諸島問題では関係正常化までに6年かかったという事例もある。

立山支局長は「中国は気に入らないことがあると水産物を止めたりなどの経済的圧力をかけるのが常套手段。それは台湾もオーストラリア、ノルウェーなども経験している。中国は『そういう国なんだ』と思って中国に依存しすぎない、ほかの選択肢を用意しておく、リスクヘッジをする。中国と長期的にどう付き合うのか考えないとまた同じことが起きる」と指摘。
一方で「国際関係を考える時に『日本は』『中国は』という大きな主語で語りがちだが、14億人の中国人の中にはいろんな人がいる。想像力を働かせて、お互い冷静になって付き合っていくことが大事」だと話す。
日本と中国が「隣国」であるという事実は未来永劫変わることはない。政府間の関係悪化が、そのまま両国民間での感情的な対立に直結することは、あまりにももったいない。立山支局長が指摘するところの「想像力を働かせた、冷静な付き合い」が求められている。














