ロバを相棒に全国を旅する35歳の元新聞記者がいます。北海道南部の八雲町熊石地区に半年ほど滞在し、そこで手作りした塩を携えて、新たな旅に出発しました。

《北海道から「ロバ塩」を行商しながら900kmの旅》

　日本海沿いにのびる北海道南部の道を、ゆっくりと進む姿が見えます。オスのロバ『クサツネ』。そして、元新聞記者の高田晃太郎さんです。リヤカーには、塩の看板が掲げられ、クサツネの動きに合わせて揺れています。

元新聞記者の高田さんとクサツネの旅は、11月11日に、北海道の八雲町熊石地区をスタート。約900km離れた千葉県を目指す、行商の旅です。今回の行商で売り歩くため、高田さんはクサツネと共に日本海に面した熊石地区で「ロバ塩」作りに励んできました。

クサツネが何度も運んだ「海洋深層水」。運搬用のタンクに入れて、1回に300リットルの「海洋深層水」を運びます。

高田さんは薪をくべて、日本海から汲み上げたミネラル分が豊富な海水を釜で煮立て、コクがあるという「ロバ塩」を手作りしてきました。

《26歳で新聞記者を辞めて旅へ…ロバが働く姿に感動》

　出発を翌日に控えた11月10日。高田さんは、最後の仕上げを進めていました。

高田晃太郎さん（元新聞記者）
「ロバが手伝ってくれたらいいのにな…シール貼り」

1回に取れる塩は、わずか5キロから6キロです。半年ほどの滞在で8回分、あわせて375袋を用意しました。

高田晃太郎さん（元新聞記者）
（Q昔の仕事とどっちがいいですか？）
「いやぁ～記者のほうがいいですね（笑）」

1袋100グラム入りで800円と値段はいささか張ります。それでも高田さんは、クサツネと手間をかけ、丁寧に作った「ロバ塩」の出来栄えに迷いはありません。

高田晃太郎さん（元新聞記者）
「どれくらいの人が（塩を）手にとって買ってくれるのか想像もつかない」

　26歳で北海道の新聞社を辞めた高田晃太郎さん。そして旅先の海外で、黙々と働くロバの姿に心を打たれ、それからはロバを相棒に旅を重ねてきました。

やがて、ロバと一緒に働き合いながら各地を歩くことが、高田さんの旅のカタチとなりました。今回は「ロバ塩」を売り歩きながら、千葉県を目指す行商旅です。