ニホンウナギの国際取引を規制するかどうかを議論する会議が先ほど、終了しました。規制案は一旦、否決されましたが、安心はまだできないようです。

東京・老舗のウナギ店。炭火で焼かれた自慢の蒲焼きは、外はカリっと、中はふっくら。昼時はウナギを求めるお客で満席です。

「大好きです。家族もみんな大好きです。(Q.どういうときに召し上がりますか?)息子が帰ってきたときとか、やっぱり、特別なときですね」

日本人が大好きな「ウナギ」。この店では、国産のウナギのみ扱っていますが、日本は消費量の約7割を輸入に依存しています。

きょう午後、その供給を揺るがしかねない国際会議が行われました。ウズベキスタンで開催された「ワシントン条約」締約国会議。絶滅のおそれから、すでに規制されているヨーロッパウナギに加えて、ニホンウナギなどの国際取引も規制対象とする議論が行われました。

松本清 店主
「気が気じゃないね。生きた心地がしない。日本でとれたシラス(ウナギ)だけで賄うとしたら、仕入れ値は倍になっちゃうでしょうね」

今回の背景には、ヨーロッパでウナギの密漁や密輸が後を絶たない現状があります。

暗闇の中を警戒するのは、スペイン国家警察。密漁者を探しています。2011年以降で逮捕されたのは300人以上。押収されたウナギは24トンを超えます。

スペイン国家警察
「密輸先はアジア、主に中国です。(合法的な市場で)売るよりも、2~3倍高く売れます」

EUなどは、ヨーロッパウナギが「ニホンウナギ」などと偽って密輸されていることを問題視。ニホンウナギは著しく減少しており、すべてのウナギの国際取引を規制すべきと主張しています。

一方、日本は「ニホンウナギとヨーロッパウナギは特徴で判別可能」で、ニホンウナギは「絶滅のおそれは全くない」と反論。各国に反対するよう呼びかけていました。

採決では、EUの提案への賛成は全体の3分の2に届かず、規制案は「否決」されました。

ニュースを見たウナギ料理店の店主は…

松本清 店主
「否決!?否決になったのね。これはうれしいね。ありがとうございます。本当にうれしい。これで安心して商売できますね」

鈴木農水大臣は、個人のXで「ひとまず、日本の鰻の食文化を守ることができ、ホッとしてます」と投稿しました。

だだ、専門家は「十分な資源量が確保され、絶滅のおそれはない」とする日本側の主張は説得力に欠けると指摘します。

中央大学法学部 海部健三 教授
「ニホンウナギについて考えれば、ウナギの資源は減少している。日本政府が根拠としている学術論文は、非常に不確実性の高いもの。今回押し切ったとしても、相手は納得していないから、再提案される可能性が非常に高い」

今後は、委員会の結論を不服として動議が出された場合、来月5日に開かれる全体会合で再投票となり、結果が逆転する可能性も残っています。

世界の海とつながる日本人が食べるウナギ。資源管理の徹底は引き続き求められます。