渡口彦信さん
「日本がアメリカに占領されるということは、心が随分痛んだ。一方、考えるとね、戦争に負けたから早く沖縄に帰れるんだなと喜びもあったわけ。だから、複雑でした」

2017年、戦後72年を経て、渡口さんは自身が過ごした収容所の跡地を訪れました。元衆議院議員の古堅実吉さんも、当時捕虜として最年少の15歳でハワイに送られました。

古堅実吉さん「2列に、1列6人ずつ、12人ずつ収められていました。ぎっしり」
渡口彦信さん「山肌だけはそのままだが、ほとんど地形が変わって。収容所は谷間にあって、こういう緑なんかあまりなかったんですよ」

沖縄の家族の安否もわからないまま、ハワイに強制的に送られた渡口さん。

「家族が、兄弟や親が元気かねって、まずはね。それが帰るまでわからないですからね、1年半」

ハワイでおよそ1年半の捕虜生活を送り、1947年1月に沖縄へ帰還しました。戦後、自身の戦争体験を多くの場所で語り、平和の尊さを訴えてきた渡口さん。

「将来を担う方々には、戦争を起こしてはいけないということを、ぜひ強く伝えたいと思う」

渡口さんは「悲惨な沖縄戦を体験した者として、再び戦争を起こさないよう沖縄戦を後世に伝えるのが生存者の務めだ」と話しています。

(前編を読む)幼馴染と徴兵検査を受け18歳で戦場へ 渡口彦信さん【#あなたの623】