安倍元総理をなぜ狙ったのか、被告人質問がヤマ場を迎えています。元総理が旧統一教会の関連団体に送ったビデオメッセージについて被告は「絶望感」を抱いたと述べました。

きょうも髪を後ろで結び、メガネをかけた姿で法廷に現われた山上徹也被告(45)。緊張した様子もなく、淡々と、言葉を選ぶようにして質問に答えていきました。

山上被告は奈良市で安倍晋三元総理(当時67)を手製の銃で殺害した罪などに問われています。警察での取り調べに山上被告は「母親が入信した旧統一教会への恨みがあった」などと供述していました。

きょうで2回目となる被告人質問では、旧統一教会幹部から安倍元総理へと襲撃の対象が変わったいきさつが語られました。

弁護人
「韓鶴子総裁襲撃など、なぜ一線を越えようと?」
山上被告
「名称変更で何の問題もない団体かのようになった。でも教会信者にとって統一教会は絶対。母は献金のおかげで(自殺した)兄が天国で幸せに暮らしていると思っていた。ハッピーエンドじゃないですか」

また、安倍元総理が旧統一教会の関連団体に送ったビデオメッセージについては…

山上被告
「最初は(安倍元総理が)現役の間には出ない良識はあったんだなと。逆に一度出てしまったら、これがずっと続いていくんだとしたら、(旧統一教会が)どんどん社会的に認められて、問題のない団体だと認識されると思った。被害を被った側からすると、非常に悔しい、受け入れられないなと」

弁護人
「感情的に表現すると?」
山上被告
「絶望感と危機感」

弁護人
「怒りは?」
山上被告
「安倍元総理本人に対してではないけど、そうなっていることに対して、怒りというか…困るという感情」

また、その後の検察側からの被告人質問で山上被告は、襲撃の際にナイフなどを使う選択肢もあったが、「心理的な抵抗を避けるために対象との距離を取れる何か」を考えていたなどとしたうえで、最終的に「高級幹部をしとめつつ周囲に被害がないよう」銃を選んだと話しました。

次回の裁判は来月2日で、引き続き被告人質問などが行われます。