将来のエネルギーとして期待される「核融合発電」について研究を進めている、岐阜県土岐市の核融合科学研究所や東京大学、九州大学などの共同研究グループは、プラズマ内部の「電位」の変化を、高精度で直接観測することに、世界で初めて成功したと発表しました。

「電位」は、エネルギーが、どの程度効率よくプラズマ内部に閉じ込められているかを示す指標です。
プラズマ内部の電位を測定するためには、金のイオンなどを束ねた「ビーム」を打ち込む手法が用いられますが、「ビーム」の量を増やすと、「空間電荷効果」と呼ばれる、イオン同士が反発し合う「渋滞」のような現象が発生してしまうことから、測定の精度を高める上で課題となっていました。

研究グループは「ビーム」を加速させる装置の電圧を最適に調整することで、この「渋滞」を解消しつつ、「ビーム」を集中的にプラズマへ打ち込む、新しい技術を開発しました。
これにより、従来のおよそ2倍から3倍となる強力なビームでの測定が可能になったということです。

岐阜県土岐市に設置されている「大型ヘリカル装置(=LHD)」で行われた実験では、この新しい技術により、これまで観測の難しかった、プラズマ内部の電位が時間の経過で変化していく様子を、鮮明に捉えることに成功したということです。

今回の成果について研究グループは、プラズマ中の「閉じ込め状態」を、その場で評価できる新しい手法が確立されたことで、将来の「核融合炉」の運転制御や、発電に向けた性能向上に寄与する重要な基盤が得られたとしています。














