“パパ活”の少女にわいせつな行為に及んだとして、不同意わいせつの罪に問われている元警視の男(54)。21日の初公判で起訴内容を認めたうえで、「強い刺激とか非現実感、普通じゃありえない感覚を味わってしまって、またそれを味わおうとやってしまった」などと、後悔の言葉を口にしました。

 起訴状などによると、元・大阪府警生活安全部警視・辻本浩嗣被告(54)は、▽今年6月と7月に府内のカラオケ店の個室で、少女(13歳未満)に対しわいせつ行為に及んだ罪のほか、▽その6月の犯行時に、同席していた別の少女(16歳未満)にもわいせつ行為に及んだとして、不同意わいせつの罪に問われています。

 辻本被告は今年9月に起訴され、今年10月には大阪府警から懲戒免職処分を受けています。

 11月21日(金)に大阪地裁で開かれた初公判で、辻本被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。

 検察官は冒頭陳述で、「インスタグラムを通じて知り合った少女と連絡を取り合い、現金1万円と引き換えに、自慰行為を見てもらうためにカラオケ店で待ち合わせた。未成年と知りながら少女2人にわいせつな行為をした」と指摘しました。

 さらに証拠調べでは、辻本被告が捜査段階で「今年の春頃から、パパ活をしている女の子と会う機会が多くなり、メールを消せばバレないと思ったが、いつかは警察に捕まるという罪悪感などがあった」「捕まった時は全て終わったと思った」「今度は制服で来てほしいとお願いした」などと供述していたことが明らかになりました。

 21日の初公判の被告人質問で、辻本被告は次のように述べました。

 「最初は軽い気持ちでマッチングアプリに手を出した。成人に会ったりしていたが、後で未成年がいて、その時に強い刺激とか非現実感、普通じゃありえない感覚を味わってしまって、その後、またそれを味わおうとやってしまった」「自分の欲望に負けて、バレなければいいだろうと思いやってしまった」

 「被害者や(被告の)家族を深く傷つけた。心からお詫びしたい。本当に申し訳ない。警察でこのようなことをして、府民の期待を裏切り、公務員のみなさまにも迷惑をかけたことを深くお詫びしたい」

 辻本被告は初公判の審理中、涙ぐむ場面も複数回ありました。

 検察官は論告で「警察官として捜査経験も豊富で、パパ活の問題を熟知し、未成年のわいせつ行為を取り締まる立場にあり、少女たちに安易に身体を売って金を稼ぐ行為をやめさせる指導をする立場にもかかわらず犯行に及んだ。厳しい非難に値する」「性欲を満たすために安易に犯行に及び、警察全体の国民への信頼を傷つけた」などと糾弾。拘禁刑2年を求刑しました。

 一方、弁護人は被害者側と示談が成立し、反省の態度を示しているなどとして、執行猶予付きの判決を求めました。

 裁判は21日の初公判で即日結審しました。判決は12月17日に言い渡されます。