海外の通信会社が、国内の通信会社と契約した「IP電話」の1回線を詐欺グループに渡し、今年2月から3月にかけて、およそ197万件の詐欺電話がかけられていたことがわかりました。少なくとも被害は2800万円にのぼるということです。

インターネット回線を利用して通話ができる電話サービス「IP電話」。

警察庁などによりますと、海外の通信会社は今年2月上旬、国内の通信会社「アイ・ピー・エス・プロ」が提供する「050」ではじまるIP電話の1回線を契約し、詐欺グループに転売した可能性があるということです。

1回線で同時に500台が通話できる利用契約をしていて、詐欺グループはこのIP電話を悪用し、今年2月から3月にかけて発信元を偽装したおよそ197万件の詐欺電話をかけていたということです。

警視庁が通信記録を解析した結果、新宿警察署や大阪府警、最高検などを含む、あわせておよそ147万種類の番号を偽装していたということです。

この回線による詐欺被害は、全国で少なくとも11件、あわせて2800万円にのぼったということですが、「アイ・ピー・エス・プロ」が3月14日に対策を講じたところ、4月以降は被害が急減したということです。

一連の被害の主な原因について、「アイ・ピー・エス・プロ」側に偽装番号の発信を拒否したり、非通知にしたりする設定のミスがあったとして、警察庁はきょう、原因究明や再発防止策を講じるよう総務省と申し入れを行いました。

警察庁は、今後の再発防止策などについて、来年1月13日までに報告を受け、総務省と連携して必要な対策をとるとしています。

今年に入ってから9月末までの特殊詐欺被害は、前の年と比べておよそ2.3倍のおよそ965億円にのぼり、過去最悪となっています。