静岡県西伊豆町を代表する港のひとつ、田子。飲食店、PORTE-IZ(ポルテイズ)では、9月から始めたハンバーガーが人気です。

<客>
「食感は初めて。おいしかった」
「すごく新しいものになっていておもしろい。(他のバーガーとは)全然違う」

今回の「しずおか産」は、西伊豆町で新たに生まれたご当地バーガー、「なんかバーガー」(1つ580円・税込)です。

<柴田寛人記者>
「それでは、なんかバーガー、いただきます。魚と野菜と、いい感じで混ざり合って、おいしいです」

おいしい「なんか」とは、魚のすり身や野菜を混ぜ合わせて揚げた「なんか揚げ」のことです。

<PORTE-IZ 原口友輔さん>
「獲れ過ぎた魚をすり身にして、すり身揚げのような形で、冷蔵庫の中にあるものでできるという形がなんか揚げ」

昭和から西伊豆町の家庭料理として親しまれてきた「なんか揚げ」は、弁当店ではおかずとして令和の時代になった今でも作られています。

<店の女性>
「サバ・イナダ・タイ」
Q. 地元の人?
「昔はうちはイカを獲っていたので、イカでなんか揚げを作った」

魚をミキサーですり身にして、野菜やショウガ、玉子、片栗粉、味噌などを混ぜます。1つ50グラム程度に丸めて、油で揚げて表面の色が濃くなったら、出来上がりです。

<大見世文具店 佐藤尚美さん>
「お父さんが釣りに行って、小さかった魚とか、売りに出せないような魚をすり身にして、野菜とかもたっぷり入れて、揚げる」

なんかバーガーを開発した原口さんは、2024年に西伊豆町に移住。住民とも積極的に交流してきました。

<原口さん>
「西伊豆の食文化や、郷土料理を使ったメニューを作りたいと開発したのがなんかバーガー」

バーガー用のなんか揚げを作るにあたり、選ばれた魚は主にブダイです。ブダイは海底の海藻を食べてしまい、伊豆の海で起こる磯焼けを引き起こしていました。

<原口さん>
「西伊豆町は海業振興が盛んな町だと思うので、海を守っていくためにはどうしたらいいのかというので、食というところから」

ところが、ブダイの身には独特のクセがあります。

<原口さん>
Q. 何を入れましたか?
「味噌を入れました。捌くと独特な臭みがあるが、魚の臭みを消す役目を。『ブダイを使っています』というと、(客から)『ええっ』と言われるが、なんか揚げや、すりみで揚げると、独特な臭みはなくなり、おいしい魚に変身する」

ニンジンやタマネギなどを加えて揚げた後、ケチャップやカツオの白だしをはじめ10種類の調味料で整えた独自のソースをかけて完成です。

<客>
「カリッとしているんですけど、中がふわっとしていて、旨味しっかりなのに、しつこくなくて、すごい好きです、これ」

<原口さん>
「食を通して西伊豆の魅力とか、西伊豆はこういうところだよというのを、一番最初の入り口として、皆さんにお伝え出来たらうれしいかなと思ってます」

PORTE-IZの原口さんは、「なんか揚げにする魚は日によって変わるので、1度食べて終わりじゃなくて、2度目、3度目と食べて違いを楽しんでほしい」と訴えています。

魚の仕入元は西伊豆町仁科(にしな)の「はんばた市場」で、20センチ以上で生きている食害魚を町の地域通貨「サンセットコイン」に交換するサービスをしています。(アプリ「海釣りGO」利用者のみ)

【店舗情報】
・PORTE-IZ(ポルテイズ)
・静岡県西伊豆町田子2634-18
・電話:0558-36-3977
・営業時間:10時〜17時(金〜日曜は18時半まで)
・定休日:水・木