裁判所「短絡的と非難することはできても同情することはできない」

事件現場となった河野博行被告(58)の自宅

判決で福岡地裁小倉支部(武林仁美裁判長)は、博行被告が犯行に至った経緯について
・博行被告は、2025年2月に自動車を酒気帯び運転するなどして3月27日に罰金50万円に処せられ、トラック運転手の職も失って求職中であったが、本件当日も自宅で飲酒した上で自転車に乗って外出し、酒気帯び運転で検挙された。

・博行被告の次男である成吾さんは、職を失った博行被告から頼まれて生活費として10万円を貸しており、博行被告の母親(成吾さんの祖母)から博行被告が酒気帯び運転で検挙されたなどと聞いて博行被告の自宅を訪れ、その際、博行被告を強い口調で非難したり、頬や頭を平手で叩いたりしたことがあった。

・もっとも、博行被告も成吾さんを叩き返すなどしており、成吾さんの暴行は一方的とも強度ともいえない上、博行被告が包丁を持ち出した時点では成吾さんの暴行は止んでおり、博行被告と成吾さんとの間に一定の距離もあった。

・博行被告は、法廷において、成吾さんの気勢や怒号のしつこさにも言及しているが、その内容についてはちゃんと聞いていなかったとも述べており、上記のような成吾さんの立場を思えば、またも飲酒に関係する過ちを犯した挙句、目の前でYouTubeの視聴を再開した博行被告の無反省な態度に腹を立てて成吾さんが博行被告を責め立てたことは、一定の理由があることであった。
と認定。

博行被告が成吾さんの言動を制限するために包丁を持ち出した点について「短絡的と非難することはできても同情することはできない」と厳しく指摘した。