人間と似ている “クマの奥歯” で分かること

立山カルデラ砂防博物館の白石俊明学芸員は、答えはクマの「歯」にあると指摘します。

立山カルデラ砂防博物館 白石俊明学芸員
「ツキノワグマの頭骨、頭の骨です。牙ですね。犬歯に目が行くと思うが、食べ物を咀嚼し飲み込むときに重要なのは奥歯。非常に人間の奥歯と似ているのをお分かりになるのではないでしょうか。これはクマが草食を中心とした雑食の生き物として今日まで生き残ってきた特徴でもある」

鋭い牙のイメージとは裏腹に、クマの体は本来、硬い木の実や植物をすりつぶして食べることに適応しています。

その主食が山から消えてしまったとき、クマが生き残るために人間の生活圏へ入ってくるのは、その生態がもたらす「必然」なのかもしれません。

そして、「人間と食性が似ている」という事実こそが、問題を難しくしていると白石学芸員は指摘します。

立山カルデラ砂防博物館 白石俊明学芸員
「私たち人間もまさしく雑食を中心とした生き物。同じものを食べようとする生き物同士は同じ場所に暮らしていくことはできない、もしくは非常に難しい。ですのでクマと人間はしっかり場所を違えて住み続ける、ケンカをしながら、お互い嫌いあいながら且つ尊重しながらの共存という方法が望ましい」