不登校の児童・生徒によるオンライン学習が出席扱いとなる「ネット出席」の制度について、制度の認知度が十分に浸透していないことが支援団体らの調査で明らかになりました。

調査は、今年(2025年)8~10月、全国の不登校の児童・生徒と保護者あわせて400人を対象にオンラインで実施されました。

調査によりますと、小学4年~中学3年の不登校者の63.5%、保護者の26.6%がネット出席を「知らない」と回答したということです。また、「学校側からネット出席の説明や提案を受けたか」という設問では、「あった」と回答したのは児童・生徒、保護者ともに1割ほどでした。

さらに、ネット出席を学校に申請したものの「断られた」と回答した割合も、児童・生徒、保護者ともにおよそ1割にのぼり、断られた理由の多くは「前例がない」や「制度がない」というものでした。

こうした調査を踏まえ、きょう、都内で不登校の当事者らが記者会見を行いました。

会見に出席した京都府の女性(50代)は、中学3年生の長女が以前、学校や教育委員会から「前例がない」とネット出席を断られたということで、制度の周知徹底を訴えました。

女性は「文部科学省が教育委員会に通知を出していても、現場の学校ではいまだに絵に描いた餅のまま」と話したうえで、「制度が形だけで終わるのではなく、現場で生きる制度となるよう、どうか一人ひとりの学びを支える仕組みの実現をお願いします」と呼びかけました。

また、教育問題に詳しい名古屋大学の内田良教授も同席し、「(学校側は)口頭でさらっと言うだけでなく、明確に家庭に伝わる何らかの資料として示すべきだ。何回かちゃんと伝えないと、(子どもが)不登校になった時点で保護者さんはかなりパニックだ」と説明しました。

ネット出席が認められている小中学校の児童・生徒数は2024年度時点で1万3261人いますが、これは不登校の児童生徒数35万3970人の3%ほどにとどまっています。