クマによる被害が全国で相次ぐ中、静岡県でも多くの目撃情報が寄せられています。2025年度に入り、県内各地で合わせて101件のクマとみられる目撃情報が寄せられています(10月31日時点、暫定値、県調べ)。
そこで今回、環境省の特定鳥獣(クマ類)保護管理検討会や静岡県のツキノワグマ管理検討会で委員を務める東京農工大学大学院の小池伸介教授にクマの生態やクマに遭遇しないための対策などを聞きました。
ツキノワグマは本来肉食?
Q.静岡県内にいるクマの生態は?
静岡県内に生息しているのは「ツキノワグマ」で、東北地方で話題になっているクマと同じ種類になります。県内の分布域は、南アルプスを中心とする地域と富士山を中心にした地域の森林地帯に広く分布しています。目撃地域=生息範囲ではない。移動する能力は非常に高いです。数十km四方は移動することができます。ただ、食べ物があれば数kmの範囲で生活できますが、食べ物がないと数十kmの距離を移動できます。
Q.クマは何を食べる?
ツキノワグマは、基本的には植物を中心にした食生活をしていて、春は芽吹いた直後の葉や花、夏からは野生の果実だったりハチとかアリといった昆虫、秋になるとドングリやクリ、果実を食べるというように、ほぼ9割、植物を食べる食生活をしています。
クマは食肉目で、祖先はライオンやトラと同じ仲間ですので、内臓は肉食に適応した形をしています。そのため、森の中で動物性の食物が手に入るのなら食べたいというのが彼らの率直なところだと思います。
ただ、日本の森の中で、簡単に動物性の食べ物を入手することはできませんし、ツキノワグマだと生きているシカを捕まえることがほとんどできないので、自然状態では動物性のものはほとんど食べる機会がないというのが実際のところですね。














