2025年7月の参議院選挙で生じた「一票の格差」を巡る裁判で、仙台高等裁判所は11月7日、「違憲状態」との判断を示しました。一方で、宮城など東北5県での選挙無効を求める訴えは棄却しています。

この裁判は、参院選で生じた一票の格差は憲法違反だとして秋田を除く東北5県の有権者が各県の選挙管理委員会を相手取り選挙無効を求めたものです。

訴状などによりますと、1議員あたりの有権者数は、最も少ない福井選挙区と比べると最も多い神奈川選挙区が3.13倍、宮城選挙区でも3.08倍の格差が生じているということです。

11月7日の判決で仙台高裁の石垣陽介裁判長は「3倍を超える投票価値の不均衡は著しい不平等の状態」などと述べ、「違憲状態」との判断を示しました。

一方で、最高裁の判例などを踏まえ、選挙無効の訴えは退けました。
また、判決では「投票価値の平等を実現させるのが国会の責務」などと指摘していて弁護士グループは、高く評価しています。

原告団・升永 英俊・弁護士:
「投票価値をできるだけ平等に近づけるようにしなければならない」
「我々が2009年からずっと主張してきた言葉」

参院選の「一票の格差」をめぐっては、11月7日を含め全国で10件の判決が出ていて、このうち4件で「合憲」、6件で「違憲状態」との判断が示されています。

宮城県選挙管理委員会は「主張が一部認められなかったものの結論としては原告らの請求は棄却されたと認識している」とのコメントを発表しています。