サッカー・森保ジャパンの活躍に日本中が沸きましたが、ワールドカップやオリンピックをめぐっては、熱狂のかげで問われていることがあります。

■森保ジャパン躍進の一方で…

中東カタールで開かれているFIFA・ワールドカップ。日本代表はベスト16で敗退したものの、その戦いは多くの人に感動をもたらしました。

男性
「PKで負けたのは悔しいけど、本当に素晴らしい結果だと思う」
    
男性
「よくやってくれました。PKまでよく頑張ってくれた」

一方で、今回のカタール大会は、開催前から様々な問題が指摘されていました。

例えば、開催決定からの10年間で、劣悪な労働環境などにより、6500人もの外国人労働者が死亡したと報じられると、各国からの非難が高まります。

こうした人権問題を巡って、パブリックビューイングを中止するなどの観戦ボイコットや、選手たちによる抗議運動も行われました。

■FIFAの汚職疑惑

もう一つが「招致プロセス」を巡る「不正」。11月、EU議会は…

EU議会・オランダ代表
「立ち上がってFIFAの行為にイエローカードを出すよう、皆さんに呼びかけます!」

カタール大会の招致に際し、巨額の賄賂や汚職があり、組織的で根深い問題だと、厳しく非難する決議を採択したのです。

FIFA・ブラッター会長(当時)
「2022年の開催地は、カタール!」

カタール開催が決定したのは2010年のFIFA理事会。日本を含む5か国が招致に名乗りを上げ、FIFAの現地視察団による調査報告書で、カタールは最低評価でした。

ところが、理事による投票の結果、カタール開催が決定。疑惑がささやかれる中、5年後の2015年…
  
米・リンチ司法省長官
「FIFA幹部らはサッカーから不正を排除し、公平性を保つ責任があるのに、サッカービジネスで私腹を肥やした」

アメリカの司法当局は、FIFA幹部らが招致活動を巡り、巨額の賄賂を 受け取ったとして摘発。FIFA副会長らが逮捕され、当時のブラッター会長も辞任する事態に至ります。

■スポーツビッグイベントと巨大な利権

こうした問題の背景には、大会の巨大化があります。カタール大会で、スタジアム建設などインフラ整備に投じられた額だけで、およそ30兆円ともいわれ、前回ロシア大会の15倍以上に達しました。

東京オリンピックで組織委員会・理事も務め、スポーツビジネスに詳しい來田氏は…

中京大学・來田享子教授
「ナショナリズムを喚起するような形の構造で行われることが、国の威信を示したいという気持ちと、ビジネス化しより多くの儲けを得たいという気持ちと結びつく。オリンピックもそうですが、非常に大きなお金が動く。その中で、利権構造が生まれる」