全国に先行し高齢化が進む高知県内では、各地で健康寿命を延ばすための取り組みが進められています。岡本アナウンサーの解説です。
突然ですが、みなさん「フレイル」という言葉を聞いたことがありますか?
フレイルとは「か弱い・衰え」を意味する言葉で、健康な状態と要介護状態の間、加齢に伴い、心と体が衰えた状態のことを指します。


フレイルは老化のサインとも言われていて、・意図せずに体重が減った・最近、疲れやすい・歩くのが遅くなった、などがあるとフレイルの可能性があります。多くの人はフレイルの経過を経て介護が必要になると言われていて、フレイルを早期に見つけ、進行しないよう予防・対策することが大切です。県内ではフレイル予防の取り組みを進める市町村が増えています。大豊町の活動を取材しました。
大豊町ではフレイル予防として「ハツラッツ」を行っています。

「ハツラッツ」は3か月かけて行うプログラムで、住民たちは週2回、運動のほか、歩く速度や筋力など自分の体の状態について知る測定、作業療法士による健康に関する講話を聴くなどしています。

はじめに行うのは「準備体操」。ストレッチのほか、筋肉を鍛える体操も行い、30分かけてしっかりと体をあたためます。


(岡本アナ)
「お腹とか足にききます。きついです」

運動のほかに、「自分の体に感謝する時間」も設けられています。

大豊町がハツラッツを始めたのは、町が抱える「高齢化」という課題に向き合うためです。高齢化率全国2位の高知県。なかでも大豊町は、県内で最も高齢化率が高い市町村です。

高齢化が進むなか、住民がいつまでも元気に暮らせる町を目指してハツラッツを始めました。
(大豊町地域福祉課 平石典子さん)
「仁淀川町でハツラッツの取り組みをしているのを知って、見学にいって大豊町でも元気になる活動をしてみようということで令和4年から実施しています」

参加者は年々増えていて、2024年度は1500人が参加しました。ほとんどが70歳以上で、取材したこの日の最高齢は99歳です!

(最高齢の参加者)
(Q.誕生日はいつですか?)※10月取材
「11月2日、100歳になる」
ハツラッツは「住民が主体」となって活動することを大切にしているからこそ、多くの人が参加しています。サポートする側も挑戦する側も住民で、お互い、体の悩みについて共有するほか、トレーニング中も励ましあうことを心掛けています。

(作業療法士 桂 雅俊さん)
「何かをしてあげたくもなるし、やってしまいがちなんですけど、あくまで僕らは黒子。住民さん同士のほうがいろいろ情報を持っているし、お互いに声かけあって支えてもらう、それが一番のハツラッツの強みかなと思います」

下半身を鍛えるトレーニング中には。
(参加者)
「親分!痛ーい」
(指導者)
「泣きゆうで、かよちゃんが」

時に厳しくサポートすることもありますが、それも「健康」のため。手作りの応援道具も使い、挑戦する側を盛り上げます。

「笑顔!笑顔!」

合言葉の「笑顔」がたくさん飛び交い、笑いが絶えない楽しい雰囲気でトレーニングが続いていきます。
中には、参加してから元気になったと感じている人もいて、ハツラッツは「住民同士のつながりの場」のほか、「自分の体を変えていく場所」にもなっています。

(参加者)
「ぼくはもう体が悪くなって17年、弱るどころか、元気になった。体だけやない、心が明るくなる」
また、90歳を超える参加者の多くが、元気と笑顔に溢れています。

(参加者 91歳)
「ここに来るまではこうなっていた(背中が)、それが伸びないかん、伸びないかんいうて伸びた。ここに来るのが楽しみ、健康のためにはね」
(今井亀久代さん(取材時99歳))
「体を動かすのがたのしい。歩くのが全然(問題ない)去年は1里(約4キロ)くらい毎日歩いていたかな」

フレイル予防のためにはひとりひとりが「楽しみ」を持つことがとても大切です。大豊町はハツラッツを通じて「高齢者が集う明るい町」を目指しています。

(大豊町地域福祉課 平石典子さん)
「隣近所がおらんなっても知り合いが増えて、笑顔がいっぱいの町になったらいいねという目標のもとやっていますので、そこを目指して突き進んでいきたいと思います」

国はフレイル予防として「栄養」、「運動」、「社会参加」の3つを掲げています。

大豊町のハツラッツでも行われていた体操をご紹介します。ペットボトル使って腕を広げたり、曲げたりするトレーニングや、4秒かけてゆっくり腰をおろし、4秒間その場でキープ、そして4秒間かけてゆっくり上がるスクワットなどを行っていました。みなさんも自宅で試してみてください。


誰もが元気に暮らせる高知県をめざして、フレイル予防の取り組みが広がってほしいと思います。














