6年ぶりとなる対面会談を行ったアメリカ・トランプ大統領と中国・習近平国家主席。会談の直前、トランプ氏は突如として、核実験の再開について言及しました。
■トランプ氏「10点満点中12点」習近平主席と会談
先に会場に姿を見せたのは、アメリカ・トランプ大統領でした。しばらくして、トランプ大統領が笑顔をみせた先から登場したのは、中国の習近平国家主席。
習近平 国家主席(30日)
「またお会いできて嬉しいです」
トランプ大統領(30日)
「私もです」
「今回の会談は間違いなく成功するでしょう。彼はとても手ごわい交渉相手だ。お互いのことはよく理解している」
2人が対面で会談するのは6年ぶりで、第2次トランプ政権では初めてです。
トランプ大統領
「我々はすでに多くのことで合意していますが、この場でもさらに増えると思います。これから長期間にわたり、素晴らしい関係を築いていくでしょう」
トランプ氏がこう述べたのに対し、習主席は… 
習近平主席
「世界の二大経済大国として、時おり摩擦が生じるのは当然のことでしょう。困難や試練に直面するなか、私と大統領閣下は舵取り役として、方向を正しく把握して大局を制御し、中米関係という大きな船を穏やかに前進させていくべきです」
 
会談で中国側は、▼レアアースの輸出規制 導入を1年間見送り、▼アメリカ産大豆の輸入の大幅拡大、▼合成麻薬「フェンタニル」の流入対策を強化することなどで合意したと説明しました。
アメリカ側は、▼「フェンタニル」流入を理由に中国に課す追加関税を、20%→10%に引き下げることなどで合意したと説明しています。
会談は1時間40分ほどで終了し、会場を後にする両首脳。別れ際、2人は握手し穏やかに言葉を交わす様子もみられました。
厳しい対立を続ける2つの超大国。双方は対立緩和へ前向きな姿勢を演出しました。
トランプ大統領
「今回の会談は10点満点中12点だ。私は4月に中国を訪問し、その後、習主席がこちらを訪問する予定です」
■トランプ氏核実験の開始指示、実施されれば33年ぶり
しかしその会談の直前、トランプ氏は米中関係に深刻な影を落としかねないことを打ち出していました。
トランプ大統領のSNSより
「私は国防総省に対し、我が国の核兵器についても、同等の基準で実験を開始するよう指示した」
突如として、核実験の再開に言及。核実験が実際に行われれば、1992年以来33年ぶりとみられ、大きな方針転換といえます。
トランプ大統領
「(Q:核実験の再開とはどういうこと?)中止して何年も経っているが、他の国々が実験を行っている以上、我々も実施するのは適切だ」
核実験の再開をちらつかせることで、中国やロシアをけん制する狙いがあるとみられます。
中国外務省の報道官は、アメリカ側の動きをけん制しました。
中国外務省 郭嘉昆 報道官
「アメリカが『包括的核実験禁止条約』に基づく義務、核実験の一時的停止の約束を着実に守り、実際の行動で国際的な核軍縮、核不拡散体制を維持することを希望する」
さらにトランプ氏は、韓国が求めていた「原子力潜水艦の建造」を承認していて、もし保有することになれば、東アジアの国際情勢に影響を与えることは必至です。
■東アジア情勢への影響は、被爆国・日本ができること
東京大学准教授 斎藤幸平氏:
まず一つに、韓国の原子力潜水艦の建造を承認するということは、韓国が核武装をする可能性が開かれるということです。またアメリカも核兵器実験を再開すれば、冷戦が終わって30年が経った中で、ロシア、イスラエルも含めて実際に核が使われる脅威がますます増してくる状況を意味します。
被爆国である日本としては、この状況に対してしっかり反対の意思を示さなければいけないですが、高市総理がトランプ大統領に対してそれを言えるのか。逆に先日、高市総理がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦するという話がありましたが、ちょっとリップサービスがすぎるのではないかと懸念しています。
小川彩佳キャスター:
トランプ大統領の一連の発言を受けてもなお、トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦するのか、高市総理には問いたいと感じます。
東京大学准教授 斎藤幸平氏:
防衛費の増大、アメリカからの兵器購入などをやっているだけで、本当にアジアの平和を守っていけるのかということを我々はやっぱり考えていかなければいけないと思います。
小川キャスター:
日本がどれだけ主体的に向き合うことができるのか問われる中で、31日に行われるとみられる日中首脳会談、どういった点に注目されていますか。
東京大学准教授 斎藤幸平氏:
石破前総理のときは韓国も含めて、アジア全体の雰囲気が少し友好的な関係へと向かう感じがありましたが、今回、高市氏が総理に代わったことでどう変化していくのかということが、多くの国民の皆さんが気になっているところだと思います。
中国に対して、トランプ大統領と仲良くできていることを踏まえて、あまり強気の姿勢で臨みすぎないように。トランプ大統領と習近平国家主席の会談から読み取れるように、やはりトランプ大統領は中国と仲良くしたいと思うので、最後に日本だけがハシゴを外されるということにならないようにしたいですよね。
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・社会思想
著書『人新世の「資本論」』
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