3年前に奈良市で安倍元総理を銃撃し、殺害したなどの罪に問われている山上徹也被告の初公判が、28日午後に開かれます。

 白昼堂々、元総理大臣が暗殺されるという衝撃的な事件。3年あまり経ってようやく迎えた山上被告の初公判を前に、奈良地裁は大勢の報道陣が集まり徐々に緊張感が高まっています。

 2022年7月、安倍晋三元総理(当時67)は、参議院選挙の応援演説のため訪れていた奈良で凶弾に倒れました。

 殺人などの罪で逮捕・起訴された山上徹也被告(45)は、取り調べで安倍元総理の殺害を認めたうえで、こうした趣旨の供述をしていたといいます。

 「母親が旧統一教会にのめりこみ、多額の献金をして破産した」
 「旧統一教会と安倍元総理につながりがあると思った」

 旧統一教会への強い恨みと、安倍元総理と旧統一教会との関連が被告の中で結びつき、殺害を決意したとみられています。

 犯行には計画性もうかがえます。事件前日には安倍元総理の遊説先である岡山を訪れていたほか、凶器となる手製のパイプ銃の“試し撃ち”を繰り返していたことが本人の供述から明らかになりました。

 裁判までに検察側と弁護側が争点整理をする公判前整理手続きは、数千点にもおよぶ証拠の数などが影響し、2年もかかりました。

 そして迎えた28日の初公判。一般傍聴席は32席が用意されていますが、奈良公園には抽選券を求め、727人が並びました。

 (傍聴の抽選券に並んだ人)
 「山上被告の今の心境。どういった思いなのかを聞きたい」
 「宗教関係のことは今までは日本ではタブー視されていることだと思う。事件を通して明るみになったので、注目しています」

 山上被告側は裁判で安倍元総理を銃撃して殺害した罪について認める一方、手製の銃については一部、罪の成立や適用する罪名を争うとみられています。

 また、母親の旧統一教会への信仰や献金が家庭に与えた影響などを指摘し、情状酌量を求める構えです。

 初公判は午後2時に始まります。