食卓に欠かせない卵の価格が高騰しています。2年前のエッグショックに迫る勢いです。

今季初の鳥インフル確認“エッグショック”再来か?
「普段より多くのニワトリが死んでいる」
先週、北海道白老町の養鶏場で、国内では今シーズン初めてとなる高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されました。道は、この養鶏場で飼育されているニワトリ、およそ46万羽の殺処分を行っています。

・鈴木直道知事(22日・道の対策本部会議)
「発生農場を中心とした迅速な防疫措置に全力を挙げて、これ以上の蔓延防止、これに向けて万全の体制を整えるように指示をいたします」
鳥インフルエンザで思い出されるのが、2年前の「エッグショック」です。
・パティスリーアンシャルロット 吉本晋治オーナーシェフ
「2~3年前はすごく影響があったので、ああいうことがないように願っている」
・北海道大学大学院獣医学研究院 迫田義博教授
「北海道には(鳥インフルエンザ)ウイルスが見えないんですけど、かなりまん延している状況は間違いないと思う」
再び、エッグショックがやってきてしまうのか。鳥インフルエンザの影響をもうひとホリします。

“物価の優等生”卵が高騰
こちらは、道内の卵の市場価格です。2023年は、全国で高病原性鳥インフルエンザの感染が拡大した影響もあり、2月に1キロ300円を超えると、5月と6月には365円まで上昇。去年1月に185円まで下がったものの、夏の猛暑の影響などで再び値上がりし、10月は、エッグショックと呼ばれた、2023年の水準に迫っています。札幌のスーパーでも不安の声が…。

・キテネ食品館月寒店 中塚誠社長(22日)
「年末にかけて卵は最需要期で、この時期に鳥インフルエンザが発生したということが一番大きな痛手」

・客(22日)
「代わるものがない、卵は」
「お弁当に使うからなくてはならないから(高くなっても)仕方なく買うと思う」
クリスマス商戦を迎え、これからが稼ぎ時の洋菓子店です。こちらのお店では2年前のエッグショックを教訓に、仕入れ先を増やして対応しています。

・パティスリーアンシャルロット 吉本晋治オーナーシェフ
「うちの店では、いまは札幌の卵問屋と十勝の養鶏場の2社に(卵を)入れていただいている。リスクヘッジをするようになった」
「クリスマスに近づけば、どんどん予約も取っていく形になりますので、どう確保していくかとなると大変」
一方で小麦粉やバターなど、卵以外の原材料価格も高騰しているため、鳥インフルエンザが拡大すれば、値上げも考えざるを得ないと話します。

・パティスリーアンシャルロット 吉本晋治オーナーシェフ
「これからどんどん上がっていくのであれば(値上げを)考えていかなきゃいけないのは当然。そこはなかなか苦しいところではあります」
今シーズン初めて養鶏場での感染が確認された高病原性鳥インフルエンザ。専門家は、鳥の中でも特にニワトリが、ウイルスに対する抵抗力がないと指摘します。

・北海道大学大学院獣医学研究院 迫田義博教授
「高病原性鳥インフルエンザにかかったときに、一番症状が激しく致死率が高いのがニワトリ」
「ニワトリだと呼吸器で増えた後、血液に乗って全身で増える。脳の中からもウイルスが検出されるし、腎臓だ、肝臓だ、脾臓だ…どこからでもウイルスが検出される。それが高い致死率、100%の致死率いつながる」
今シーズン、道内で野鳥への感染が確認されたのは、苫小牧市と根室市の2例だけですが、すでに道内でウイルスが蔓延していると言います。

・北海道大学大学院獣医学研究院 迫田義博教授
「そもそも野鳥の検査は全数把握ができない。苫小牧で野鳥からウイルスが検出されたのは氷山の一角」
「野鳥からウイルスが検出されたということは、広い北海道どこにでも渡り鳥が到着しているし、二次的な感染もあって、ウイルスは見えないけど、かなり蔓延している状況というのは間違いない」
堀知啓キャスター)ウイルスが蔓延しているというのは怖い話ですけど、消費者にとっては卵の価格も気になりますよね。
鳥インフル6季連続発生…道内は年2回の感染リスク
堀内大輝キャスター)総務省の小売物価統計調査によりますと、札幌の卵1パックの平均価格は、先月は296円で、前の月より8円上がっています。迫田教授は、このまま感染の拡大を防ぐことができれば、2年前のような「エッグショック」にはならないのではないかとも話しています。
堀キャスター)高病原性鳥インフルエンザの感染は、6シーズン連続なんですね。
堀内キャスター)そうなんです。しかもこれからの時期に本格化するんです。

堀内キャスター)以前は4~5年に一度のペースで検出されていた高病原性鳥インフルエンザウイルスですが、2020年以降は6シーズン連続で発生しています。しかも、確認される期間が徐々に長くなっているんです。また、北海道は越冬のため渡り鳥が南下する10月・11月と、繁殖のためにシベリアに戻る5月・6月の2回、感染の山場を迎えるリスクを抱えています。
堀キャスター)国としても対策を考えているんですよね。
堀内キャスター)養鶏場での感染リスクを減らすため農水省が推奨しているのがこちら。

堀内キャスター)養鶏場を複数の区域に分けて飼育する「分割管理」です。通常は、一部で感染が確認されると、すべてのニワトリが殺処分の対象となりますが、分割管理することで鳥インフルエンザが発生した場合に、殺処分の対象を限定することができます。
さらに感染対策として導入を検討しているのが「ワクチン」です。

堀内キャスター)検討の背景には、おととし5月に世界の動物衛生の向上を目指す国際獣疫事務局(WOAH)の総会でワクチン使用の検討を促す決議が採択され、国際的にワクチン接種に向けた機運が高まったことがあります。フランスでは、フォアグラ用のアヒルに接種が始まっていて、アメリカ・カナダ・イギリスでも検討が始まっています。
日本では緊急時を想定して一定量のワクチンを備蓄していますが、これまでに使用した実績はありません。
ワクチンの検討会メンバーでもある迫田教授によりますと、ニワトリは3年ほどで産卵能力が衰え、ワクチンの効果は2年半程度。費用や労力の問題などハードルは高いということです。
堀キャスター)白老の養鶏場の殺処分は、30日で作業が終わる予定です。死んだ野鳥を見つけたときは、素手では触らずに、近くの自治体などに連絡するようにしてください。














