■取材のきっかけは、ナレーション収録で感じた”声の違和感”
2020年4月。入社4年目になった私は、後輩のアナウンサーが増えてきたこともあり、自分自身のスキルアップを目指して原稿読みやナレーションの練習を強化していました。
発声練習にも長めに時間を割き「自分の声」と向き合う日々を過ごしていました。

そんなある日、ナレーションを収録しようと録音ブースに入ると、突然、喉に違和感が。声帯に”フタ”をされているかのように、喉元まで上がってきた声が出なくなりました。それも決まって、「か行」と「た行」で始まる言葉ばかり。しかし、日常の会話では違和感はなく、普段と変わらない声が出せていました。
「風邪でもひいたかな?」
私の思いをよそに、症状はどんどん深刻になるばかりでした。

■28歳アナウンサー、声が出づらくなりました。
あいテレビ アナウンサーの山田 祐也と申します。
声帯に異常がないにも関わらず、自分の意思に反して喉の筋肉が過度に緊張し、声が出しづらくなる「過緊張性発声障がい」と闘っています。
発声障がいの症状は人それぞれで、様々なパターンがありますが、私の場合は、ナレーション収録や生放送などの限定的な場面で「か行」「た行」から始まる言葉の”声詰まり”が生じます。
「声を生業としている自分が、声を出しづらくなった」
当初は絶望感に苛まれ、アナウンサーもテレビ局も辞めようと思いました。
しかし、病気について調べるうちに分かったのが、同じように声に悩む人が大勢いること。
「発声障がいについて伝えることは、アナウンサーである私に与えられた使命かもしれない」
微力ながらも当事者が前を向くきっかけを作りたいと考え、「発声障がい」についての取材に動き出しました。
みなさんは、ある日突然、声が出なくなったらどうしますか?