戦後80年プロジェクト「つなぐ、つながる」です。戦時中、旧日本軍の細菌戦部隊は、中国だけでなく東南アジアにも存在しました。知られざる部隊の実態をシンガポールの研究家が追い続けています。
シンガポールとの国境に近い、マレーシア南部ジョホール州。JNNは特別な許可を得て、日本軍の細菌戦部隊の重要拠点だった場所を訪れました。
記者
「中に入ってみますと、非常に広い敷地であることが分かります。当時はイギリスが東南アジア最大級の精神病院を作っていた場所なんですが、日本軍が占領し、細菌兵器の製造拠点にしたとみられています」
日本軍の軍属として勤めていた竹花京一は、戦後、自身の手記にこう綴っています。
日本軍の軍属 竹花京一の手記
「鼠にペスト菌を注射し、発病した鼠にノミをたからせ、ノミの胃袋にペスト菌が吸入されておれば、即ち細菌兵器となる」
1941年にマレー半島に侵攻した日本軍は、占領地のシンガポールを本部とする通称「岡9420部隊」を編成し、東南アジア各地に拠点を設けました。
表の目的は感染症の予防などの研究。しかし、その裏では、中国で細菌兵器の製造や捕虜への人体実験を繰り返した731部隊の関連組織として活動していたのです。
シンガポールに住む華僑で歴史研究家のリム・シャオビンさん(68)は、「岡部隊」の調査を続けています。
「岡9420部隊」を研究 リム・シャオビンさん
「(細菌を媒介する)ノミにとって、一番繁殖しやすい環境は東南アジアの気温と湿度がぴったりだということで(部隊ができた)」
リムさんは、細菌兵器がガラス工場でつくられた容器に詰められ、細菌爆弾になったとみています。
リムさんが日本軍の調査に取り組む原点となったのは、自身の祖父に起きた悲劇です。
終戦直後の1945年9月、祖父はマレー半島のマラッカで駐留を続けていた日本軍の憲兵から、抗日運動に関わっているとして無人島に連行され、殺害されました。
「岡9420部隊」を研究 リム・シャオビンさん
「日本軍の組織、どうやったらこういう悪いことができる軍隊になっていったのかを追究したい。その中に731(部隊)もあれば、9420(部隊)もあります」
リムさんは今年、「岡部隊」の実態に迫る書籍を中国で出版しました。
ただ、「岡部隊」で細菌兵器の実戦使用や人体実験があったのかなど、まだ多くが謎のままです。
「岡9420部隊」を研究 リム・シャオビンさん
「80年も経ったのに、まだこれだけの未解明なことがあるというのは信じられない。証拠となるようなものを示したうえで、みんなに伝える、(記憶に)残してもらうというのが責任」
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