2024年2月、証券会社の社員を装って、北海道空知地方の50代女性から現金1500万円をだまし取ったなどとして、マレーシア国籍の33歳の男と、中国籍の37歳の女が逮捕されました。

女性の被害額は合計約1億3000万円にのぼるとみられていて、警察は、外国に拠点を置く特殊詐欺グループによる犯行の可能性があるとみて調べています。

詐欺の疑いで逮捕されたのは、マレーシア国籍の会社役員、トー・シェン・ボク容疑者(33)と中国籍の会社役員、曹海艶容疑者(37)です。

2人は、2024年2月22日から26日にかけて、氏名不詳の人物らと共謀し、証券会社の社員を装って、空知地方の50代女性の家を訪問し、現金1500万円をだまし取るなどした疑いが持たれています。

警察によりますと、2人の共謀者らが、LINEのメッセージ機能で「3000万円を追加すればトップ勝利クラスに参加できる」「総収益は10億円に達するかもしれません」などとメッセージを送信。

トー容疑者が被害女性の家に行って1500万円を受け取った一方、曹容疑者は、被害者宅にトー容疑者を送り届け、通訳もするなどして詐欺を手助けしたとみられています。

警察によりますと、この事件は女性が、2024年1月、インスタグラムで「楽天グループを装った投資広告」を見つけ、投稿主にメッセージを送ったことが発端とみられています。

その後、女性は、三木谷社長のアシスタントを名乗る人物から、偽の投資アプリと証券会社の社員を名乗る人物のLINEアカウントを紹介され、連日、メッセージのやりとりをした末、19回にわたり、合計約1億3000万円をだまし取られる被害に遭っていました。

女性は、偽の投資アプリに、利益が出ているような表示があったため現金化しようとしたところ、できなかったことから、詐欺被害に気づき、2024年4月、警察に相談したということです。

その後、警察が防犯カメラやメッセージの履歴などの捜査を重ねた結果、事件発覚から約1年半が経った10月10日、マレーシアから日本に再入国しようとしていたトー容疑者を成田空港で、16日に札幌市内で曹容疑者を逮捕しました。

警察の調べに対し、トー容疑者は「身に覚えがない」、曹容疑者は「私は人をだましてはいません」と話していて、いずれも容疑を否認しています。

警察によりますと、2人は、同じ詐欺グループのメンバーとみられていますが、互いに面識はなく、事件当日が初対面だったということです。

この被害女性に対する詐欺を巡っては、2024年7月、中国籍の男がすでに逮捕されていて、警察は、トー容疑者らは、同じ詐欺グループのメンバーとみられています。

警察は、トー容疑者が「受け子」などの役割で、別の詐欺事件にも関与しているとみて、余罪を詳しく調べています。