「未知の病気から一気にピントが合った」次の臨床研究に期待

今回の研究結果について、コロナ後遺症の患者や診察に当たる医師からは驚きの声が上がる。
「今まで未知の病気で、未知の後遺症でっていうフワっとしていたものが、一気にピントが合ってきた。病気の輪郭を形作ることができる研究成果だと思う。今回こういう結果がでたのは、本当にうれしい」
ブレインフォグに苦しみ続けている川崎市の男性(40代)は、4年前にコロナ感染した後、ブレインフォグの症状が続き、仕事を続けることができなくなった。脳の血流を改善する治療法「rTMS」や「上咽頭擦過療法」、漢方薬を服用するなど、様々な治療を受けてきたが、この4年間で、「ブレインフォグの症状は固定化してしまっている」と話す。
「自分の頭の中で何が起きているかを知りたい」と2023年11月に、横浜市立大学の臨床研究に参加。今回の結果が出るまでの2年間を振り返り、「コロナ禍が終わって、後遺症に対する世間の関心は薄くなっているように感じる。私のように苦しんでいる人は多くいる。治療薬の臨床研究を、少しでも早く進めてほしい」と期待を込める。
この男性が診察を受けている「横浜かんだいじファミリークリニック」(横浜市)の河野真二院長は、コロナ後遺症の診断について、「検査でひっかかるものではなく、感染歴があり、他疾患が否定されかつ後遺症に特有の症状があるとき、『おそらくコロナ後遺症でしょう』と診断されてきた」と指摘。横浜市立大学の研究結果は、「ブレインフォグの患者に対する診断のための検査法ではあるが、診断根拠ができることに大きな意味があると思う。今まで疑いの目を向けられていた患者さんには、きちんとした診断ができることで、社会から病気として理解され易くなることは、本当に大きな前進であると思う」と話した。
コロナ禍の「最後の課題」が克服される日は、近いかも知れない。