患者や家族らから集まった約620万円 「慢性疲労症候群などの診断にも・・・」

研究チームは、研究費用の一部を「クラウドファンディング」でまかなっていた。2023年10月から11月までの2か月間で集まった金額は、約620万円。コロナ後遺症の患者やその家族からの寄付もあったという。

クラウドファンディングを発案したのは、研究チームの阿部弘基医師だ。研究を始めた2023年当時、コロナ後遺症の研究が研究費の対象となるかは不透明だったという。「患者さんが受診先を探すのに苦労をしている姿をみると、少しでも早く解決する必要があると考えた。なるべく早く研究を始めるために必要だった」。

診断法や治療法の確立は、患者たちの強い願いだ。その糸口を掴むことになる今回の研究結果に、阿部医師は「患者さんや家族からの応援はとても心強く、研究チームの支えになった」と語る。

今回の研究結果は、ブレインフォグの診断だけでなく、別の疾患の診断にも活用できるという。

脳の病気は診断方法が限られており、MRIや血液検査でも異常が見つけられない場合が多くある。阿部医師は、「今回の研究結果は、脳の病気の診断に生かせる可能性を示したものといえ、ブレインフォグだけでなく、慢性疲労症候群など、脳に由来すると考えられている病気でも、治療の手がかりを掴むことができるのではないか」と意気込む。